日本画を愛でる本
日本画の多くは、日本人の暮らしと深いかかわりのある題材が、絵師たちの強い誇りによって描かれてきました。今月は、本を通して絵師たちの創作への情熱や日本の風土が感じられるような、日本画を愛でる本を紹介します。
1冊目は、澤田瞳子/著『若冲』です。
琴平町の金刀比羅宮にも襖絵があり、香川県との縁(ゆかり)を感じる若冲。動植物がまるで生きているかのように描かれた彼の作品は、生誕300年を超えた現代においても、見る人の心をとらえてやまないものです。
史実では、若冲は生涯独身だったとされていますが、本作では、妻がいたことがあり、その妻との関係が、若冲の作品における生命力や題材に影響を与えていったのではないかという視点で物語が書かれています。
若冲が生きた時代の京都の状況や、同時代に活躍した絵師たちとの関わりを踏まえ、若冲がどのように自身の作品と向き合ったのかを綴った小説です。
2冊目は、三才ブックス『世界でいちばん素敵な浮世絵の教室』です。
西洋の名だたる画家にも影響を与え、日本を代表する芸術として人気を誇る浮世絵。とはいえ、私たちは日本で暮らしながら、浮世絵について知らないこと、答えられないことも多いのではないでしょうか?
本書は美しい浮世絵の作品とともに、「浮世絵のはじまりはいつ?」や「浮世絵はどうやって色をつけているの?」など、素朴な疑問にQ&A形式で答えていくビジュアルブックです。美しく愛らしい浮世絵を視覚的に楽しみながら、浮世絵の基礎知識を身につけてみましょう。
3冊目は、東京美術『絵金~闇を照らす稀才~』です。
高知城下で髪結いの子として生まれた絵金は、江戸で狩野派を学び、土佐藩家老家御用絵師にまで出世し順風な日々を送っていました。しかし思いがけず贋作事件に関わったとして罪に問われ、御用絵師の職を失います。
失意の中、その後は町絵師として東西を放浪し様々な作品を手掛けます。彼の作品で特に有名なものの一つに、鮮やかな赤色で闇を彩る芝居絵屏風がありますが、江戸とも上方とも違う色彩豊かな作風は、絵金独自の芸術として価値を見出されています。
彼の描いた鮮烈な赤色を堪能しつつ、絵金の世界観を感じてみませんか?
図書館には他にも日本画に関する本が多くあります。本を通じて、時に力強く、時に艶やかな、美しい日本画をお楽しみください。
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