本づくりの裏側
毎年数万点以上も出版される本。その一冊ごとに編集者や印刷所など数多くの人が関わっています。今回はそのさまざまな工程や裏側を知ることができる本を紹介します。
1冊目は、牟田都子/著『文にあたる』です。
みなさんは「校正」という職業をご存知でしょうか。出版される前の原稿を読み、内容の誤りを正し、不足を補ったりする仕事で、「校閲」とも呼ばれます。誤字、脱字はもちろん、百科事典などを使った「調べもの」、事実確認も行います。
この本ではさまざまなエピソードを交えながら校正について語ってくれています。例えば、文芸誌では句読点一つも著者の表現ととらえ、疑問や指摘を入れることでその表現を邪魔してはいないか、常に考えながら原稿に向き合うそうです。単に間違いを正すのではなく、時に紙面上で著者や編集者とキャッチボールさながらのやり取りを繰り返しながら原稿の精度を高めていく校正。本づくりの奥深さを垣間見ることのできる一冊となっています。
2冊目は、和田誠/著『装丁物語』です。
40年にわたって「週刊文春」の表紙イラストを描き続け、絵本作家や映画監督も務めるなど多方面で才能を発揮した和田誠。そんな彼がライフワークとしていた装丁についてまとめたのが本書です。装丁とはカバーや扉をはじめとした、本の体裁を整える仕事です。この本でも紙、文字、画材…とさまざまな要素に触れ、選んだ理由やこだわり、デザインを決めていった経緯を語ってくれています。
また、村上春樹の表紙も数多く手がけている和田誠ですが、依頼されるきっかけとなった出来事など、貴重な話もたくさん紹介されています。本の顔である表紙がどのような意図で作られていくのかを知ることができます。
3冊目は、福音館書店/出版『かがくのとものもと』です。
みなさんは「かがくのとも」というこども向けの月刊絵本をご存知でしょうか。こどもの好奇心を育むため、科学という視点を通して作られている絵本です。身近なテーマも多く、単行本化ののち今でも読み続けられているロングセラー作品も数多くあります。
この本はその「かがくのとも」が作られるまでの過程やラフスケッチのほか、加古里子・五味太郎など今まで関わった名だたる絵本作家のインタビューなどが紹介されています。また創刊から50年にわたる計601作品の表紙一覧も圧巻です。皆さんがこどもの頃に読んだことがある作品も含まれているかもしれません。ぜひ楽しんでくださいね。
図書館には他にも本づくりに関する本がたくさんあります。ぜひ手に取って読んでみてくださいね。
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