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今月のおすすめ本

印刷用ページを表示する更新日:2024年12月24日更新

海辺の本

 キラキラ輝く水面と、穏やかに打ち寄せる波が濡らす砂浜。今回はそんな「海辺」をテーマに本を紹介します。

 1冊目は、牧野富太郎/著『牧野富太郎植物記;6 海辺の花』です。
 県内の海岸には、意外にも多くの海浜植物が生息しています。かわいた砂で覆われ、潮風が吹き付け、えんえんと日差しが照り付ける。そんな過酷な環境下で、海辺の植物たちはどうやって繁殖しているのでしょうか。この本では海浜植物の驚くべき生態や、植物の名前の由来などが牧野博士によってわかりやすく記されています。ちなみに香川県の砂地でもよく見られる多年草のコウボウムギ。これは、地下茎の節についている古い葉のさやのせんいの束が筆のようにみえることから、筆と縁の深い弘法大師空海を取って名付けられたそうです。

 2冊目は、ブルーノ・ムナーリ/著『遠くから見たら島だった』です。
 海岸でみつかるさまざまな色、肌触り、大きさの石。この本は石遊びの魅力を、モノクロの写真と素朴な言葉でつづった一冊です。幅広い分野で表現者として活躍した著者のムナーリは、自然が作り上げた造形を、ただ愛でて鑑賞するだけにとどまりません。切り出したように角張った石には、背景の空や海を足して島に見立て、白い線状の模様が入った石には、線を雨や道路に見立てて人や動物の絵を描き足すなど、独創性を加えて豊かな個性とファンタジーを見出しています。まるでたったひとつのたからもののように、石を拾って眺めるたのしみで溢れています。

 3冊目は、ロバート・ウェストール/作『海辺の王国』です。
 第二次世界大戦中の夏、12歳の少年ハリーは住む町が空襲に遭い、家と家族を失います。同じく空襲で飼い主を失った犬のドンと、少ない食べ物を分け合いながら海辺をさまよう旅にでることに。寄る辺のなかった世界の中で、ハリーは生きていく術を身に付け、さまざまな人との出会いをくぐりぬけていくごとに、海辺にかけがえのない自分の居場所をひとつずつ獲得していきます。この物語の結末は、ハリーと一緒に旅を続けてきた読者にとって苦く切ないものになり、特に10代のひとにおすすめしたい一冊です。ぜひハリーの旅の終着地を見届けてくださいね。

 坂出市には沙弥島海岸やナカンダ浜、瀬戸大橋記念公園など、海岸沿いに魅力的な観光スポットがたくさんあります。海辺の本を開いて、ぜひおでかけください。

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