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坂出市立病院 > 呼吸器外科

呼吸器外科

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年10月13日更新

呼吸器外科について 

 当院では平成27年10月1日に呼吸器外科を新たに開設しました。開設後の1年で、当初の予想を上回る71例の全身麻酔手術を行い、そのうち原発性肺癌に対する手術は48例でした。当院呼吸器外科では、肺癌に対する完全胸腔鏡下(きょうくうきょうか)手術に特に力をいれています。このほかにも、気胸に対する胸腔鏡下手術、縦隔疾患に対する手術、手掌多汗症に対する胸腔鏡下交感神経切断手術など幅広い疾患に対する治療を行っています。

肺癌 

 

 1. 肺癌の現状

 現在の日本における癌死亡者数のうち肺癌が約5分の1を占め、癌の臓器別死亡者数では第1位となっています。この理由のひとつに、早期肺癌では症状がほとんどないため発見されにくいことが挙げられます。実際、自覚症状が出現してから受診される患者さんの割合は多く、この段階になると手術単独では根治が難しい場合がほとんどです。一方で検診により自覚症状なく偶然発見された場合などは、手術により根治が得られる可能性が十分にあります。こういった点からも毎年1回の検診はもちろんのこと、人間ドックでのCT撮影などによりいかに早く異常を見つけるかが、肺癌に負けないためのカギとなります。

2. 肺癌の診断

 肺癌が疑われた場合、診断を確定するために画像診断のほか、細胞診あるいは組織診が行われます。画像診断では、CTやMRI、FDG-PET検査などの結果から病気の進み具合(病期あるいはステージといわれます)を判断します。細胞診および組織診とは、腫瘤から細胞を摘出して癌細胞の有無を診断することで、この検査によって癌細胞が検出されてはじめて肺癌の診断が確定します。細胞診および組織診の主な方法として、喀痰細胞診(痰の中の癌細胞の有無を調べる)、気管支鏡下生検(胃カメラの3分の1程度の太さの気管支ファイバーを口から気管支へ挿入して細胞を採取する)、CTガイド下生検(CTで腫瘤の位置を確認しながら胸の表面から細い針を刺して細胞を採取する)などがあります(図1)。

CTガイド下生検

(図1) 左上葉肺癌に対するCTガイド下生検の様子

 3. 肺癌の治療方針の決定

 肺癌の診断が確定すれば、次に病期に応じて治療方針を検討します。病期ごとの治療方針は様々ですが、リンパ節転移がなければほとんどの場合手術可能です。またリンパ節転移がある場合でも、転移箇所や個数によって手術可能な場合もあります。一方でいきなり手術をしても再発率が高いと推測される場合には、まず抗癌剤治療を行いその後手術可能かどうかもう一度判断することもありますので、手術適応を一概に線引きすることは困難です。

 4. 肺癌の手術

 十数年前までの肺癌手術は、20~30cmの大きな切開による開胸手術が標準でしたが、近年胸腔鏡手術が普及し、比較的小さな切開で手術ができるようになりました。なかでも当科では開設時より完全胸腔鏡下手術を採用しており、国内でも最小クラスの3~3.5cmの切開で手術を行っています(図2)。これにより術後の創部痛が軽減され、見た目にも綺麗な傷になります。現在の日本国内における肺癌に対する標準手術は、腫瘍が存在する肺葉(上葉、下葉などの単位)をすべて切除する肺葉切除ですが、小さくごく淡い陰影で発見されるような早期の肺癌に対しては、できるだけ多くの肺を残すことができるように、肺葉よりさらに細かい区域とよばれる単位での切除も積極的に行っています(積極的縮小手術)。また肋骨や横隔膜などへの直接浸潤や近傍のリンパ節転移を伴う局所進行肺癌に対しても、術前に抗癌剤を投与し病巣を縮小させた後、徹底的なリンパ節郭清(リンパ節の切除)を行う根治手術を行っています(図3)。ただし胸腔鏡手術にも限界があり、腫瘍の大きさや血管周囲の癒着などにより開胸手術を行う場合もあります。

 肺癌手術における各種切開方法

(図2)  肺癌手術における各種切開方法

抗癌剤治療により縮小した腫瘍

(図3)  

a;上大静脈に直接浸潤が疑われる右上葉肺癌

b;術前の抗癌剤治療により縮小した腫瘍

気胸 

 

 1. 自然気胸

 肺に小さな穴が開き空気が漏れることにより、肺が縮む気胸。一般的に若年者に多い特発性自然気胸と、喫煙による肺気腫や肺炎、肺癌などが原因となって発症する続発性自然気胸に分類されます。続発性自然気胸の原因は様々ですが、特発性自然気胸の場合の多くはブラとよばれる肺が風船様に膨らんだ部分に穴があき発症します。ブラができる原因はまだ解明されていませんが、痩せ形で高身長の若年男性に多いとされます。ただし比較的稀ですが女性にも発症します。

 2. 自然気胸の手術

 CTにより空気漏れの原因であるブラが確認されれば、5mmの切開を2箇所、1.5cmの切開を1か所加え、胸腔鏡下にブラを切除します(図4)。また、全例で再発率を少しでも低下させるために被覆材を用いた補強も行います。ただし強い肺気腫のある喫煙者や高齢者では、術中視野確保や操作性の観点から、開胸手術を選択する場合もあります。

非喫煙者の肺と喫煙者の肺

(図4)  a;非喫煙者のきれいな肺 b;喫煙者の肺にできたブラ

 3. 月経随伴性気胸

 女性の月経に合わせて気胸が起こることがあり、月経随伴性気胸と呼ばれます。詳細なメカニズムはまだ解明されていませんが、肺や横隔膜の一部に子宮内膜組織と同様の組織がみられ、月経にあわせて出血し肺や横隔膜の一部が破綻することで発症するとされていいます。月経随伴性気胸に対して通常の気胸手術では不十分で、病変のある横隔膜の一部を合併切除したり、ホルモン療法を併用し治療を行います。

縦隔腫瘍 

 

 1. 縦隔と縦隔腫瘍

 通常聞き慣れない縦隔(じゅうかく)という場所は、両肺に挟まれた心臓周囲を指し、気管や周囲のリンパ節、食道のほか胸腺などが存在します。縦隔にできる腫瘍の中で最も頻度が高く、約40%を占めるのが胸腺にできる胸腺腫です。胸腺とは胸の正中にある胸骨裏面に存在し、胎児のころにTリンパ球を教育する器官(組織)として活躍しますが、出生後は徐々に小さくなり、成人ではかなり薄い組織になります。この薄くなった胸腺にできる腫瘍の代表が胸腺腫です。胸腺腫は無症状のうちにCTで偶然発見されるものから、重症筋無力症という筋力低下を引き起こす疾患に関連して発見されるもの、痛みや顔面のむくみで発見されるものなど様々です。臨床的には悪性腫瘍に分類され、転移や浸潤、播種(腫瘍細胞が周囲へ飛び散ること)がみられることもあり、放置すると命にかかわることがあります。
 胸腺腫に次いで多いとされるのが気管支原性嚢胞と神経原性腫瘍です。気管支原性嚢胞は、気管支周囲に液体のたまった袋ができ徐々に増大する良性腫瘍です。また神経原性腫瘍は脊椎や肋骨周囲の交感神経幹や肋間神経といった神経から発生するもので、そのほとんどが良性腫瘍です。

2. 縦隔腫瘍の手術 

 胸腺腫のうち小さなものであれば胸腔鏡手術により切除が可能ですが、大きいものや周囲への浸潤がみられるものは、胸骨を切開する開胸下手術により摘出します。一方気管支原性嚢胞や神経原性腫瘍は基本的に胸腔鏡手術による切除が可能です。

 

手掌多汗症 

 1.手掌多汗症

 緊張により手のひらに異常に汗をかく体質が手掌多汗症です。これは病気ではなく体質といえますが、本人にとっては非常にデリケートな問題です。手掌多汗症にはその重症度に応じてグレード分類があり、
グレード1;手ひらが濡れているが汗は落ちない
グレード2;拳をにぎると汗が落ちる
グレード3;手のひらを開いた状態で汗が落ちる
とされています。

 

2. 手掌多汗症に対する保存的治療

 手掌多汗症に対する治療法として、塩化アルミニウム剤の塗布や微弱電流を通電するイオントフォレーシス、ボツリヌス毒素の手のひらへの注射、交感神経幹の切断手術(ETS)などがあります。一般に塩化アルミニウム剤の塗布とイオントフォレーシスの効果は個人差が大きく、効果が不十分であったり副作用の出現も懸念されます。またボツリヌス毒素の注射は数か月~1年程度の効果が見込めるようですが、繰り返し行う必要があります。

 3. 手掌多汗症の手術

 手掌多汗症に対する手術療法として、従来よりETSが行われてきました。ETSは手掌の発汗を支配する交感神経幹という神経を切断するものですが、切断する場所によって代償性発汗が大きな問題になります。代償性発汗とは、手術後に胸や背中、太ももなどに異常に汗をかく状態をいい、特に夏場に多いとされます。手掌の発汗にはT2、T3、T4(第2肋骨~第4肋骨の高さ)の交感神経が関与していますが、高位になればなるほど(T2やT3)代償性発汗が多くみられます。当科ではT4を切断することで、T2やT3の切断に比べ多少の発汗は残るものの、代償性発汗も軽減できる手術を行っています。さらに交感神経幹そのものは切断せずに、その枝にあたる神経のみを切断することで、代償性発汗をさらに抑えた治療も提供しています(図5)。

交感神経幹

(図5) 

a;交感神経幹(黄)とその枝(青)  

b;交感神経幹を残し枝のみを切断した様子(黄は交感神経幹)

 


 

 開業医の先生方へ;レントゲンフィルム1枚のみでのご紹介でも結構です。地域医療連携室経由で診療予約いただくか、気胸や外傷のような急を要する場合は、呼吸器外科まで直接お電話ください。

(夜間は救急外来で対応します。)


担当医師について

中野医師■ 呼吸器外科部長:中野  淳(なかの じゅん)


坂出市出身、平成13年香川医科大学卒業(前職:香川大学医学部附属病院 呼吸器外科講師)
高松赤十字病院外科、香川大学医学部呼吸器外科、倉敷中央病院呼吸器外科において、これまで約1,000例の呼吸器外科手術を経験しています。地元の皆さんに少しでも貢献できるよう努力します。また、「手術待ち」の状態を少しでも減らすため、迅速な初診および手術を心掛けています。

 

池田医師

■ 池田敏裕(いけだとしひろ)


千葉県出身;平成24年香川大学卒業

ひとりでも多くの患者さんの呼吸器の悩みがなくなるように、患者さんと一緒に治療を進めていきます。

 診療予定表  [ 呼吸器外科 ]

診療予定表
月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日土曜日

午前

午後

中野  淳

中野  淳

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池田  敏裕

池田  敏裕

※ 診療予定表の「―」は休診です。

医師紹介 [ 呼吸器外科 ]

ten 中野  淳   ( なかの じゅん )
役職部 長
専門胸腔鏡下手術、肺癌・気胸など呼吸器外科全般
資格

医学博士

日本外科学会認定医、専門医、指導医

日本呼吸器外科学会評議員、専門医

ten 池田  敏裕   ( いけだ としひろ )
役職医 員
専門呼吸器外科
資格

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