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坂出市立病院 > 院長あいさつ

院長あいさつ

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年4月1日更新
2018年度の挨拶

院長先生

坂出市立病院 院長

岡 田 節 雄

坂出市立病院は2014年12月1日に当地に新築移転しはや4度目の春を迎えております。近代的な施設を有効活用し、市民の皆様により質の高い充実した医療の提供を目指して、現在進行形で努力致しております。地域の中核病院としての使命を果たすべく急性期医療に主軸を置く一方、島嶼部やへき地での巡回診療、診療所での診療,地域包括ケアシステム構築を支援する為の訪問診療・訪問看護にも力を注いでいます。王越と与島の診療所での診療におきましても従来は医師の派遣だけでしたが、昨年の4月からは看護師や事務スタッフ全てを当院が担うこととなり、職員の負担も増えてはおりますが、病院の基本理念である「市民が安心して暮らせ、心の支えとなる病院に」のもと、いかに効率よく地域医療を実践できるかを常に念頭におき、試行錯誤しながらも前に進んでいきたいと考えています。更なるレベルアップを目指して職員一同奮闘する覚悟です。一方、依然医師不足から産科、脳神経外科の常勤医師を確保した開設に至らず市民の皆様・近隣の医療機関の皆様には大変ご不便をお掛けしている事、心苦しく思っております。関連大学の香川大学に継続的な働きかけを行い、早期実現に向けて今後も努力致します。

さて、最近の医療界における専門医制度に関する話題を紹介致します。専門医の多様性や質のばらつき、国民への分かり難さから、2013年厚生労働省が設置した「専門医のあり方に関する検討委員会」が議論を開始し、大学病院や都会の大病院が先導して考案された新専門医制度の実施が、当初の予定を1年先送りし、本年(2018年)4月から開始されます。当初危惧されていた通り、専攻医の都市部大病院への集中には歯止めがかからず、地方では定員割れ、都市部ではフルマッチどころか定員オーバーも数多く存在したと聞き及んでおります。1次マッチングの段階では東京都内に1,756人の専攻医登録希望があり、全体7,791人の22.5%もの専攻医が東京都内に集中した結果でした。専門医制度の理念はよく理解できますが、もたらす影響を考慮したシステム作りとPDCAサイクルを充分機能した改正が常に必要でしょう。そもそも新専門医制度では、専門医を「それぞれの診療領域における適切な教育を受けて十分な知識・経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師」と定義しています。「標準的な医療を提供できる医師」を育成する為に、専攻医を都会の大病院に集中させる必要は無く、地域の中小規模病院においても「患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師」を育成する事は充分に可能と考えています。香川県全体が地域ですので地域医療にも充分考慮した専門医制度に変貌して頂きたいものです。総合臨床に秀でた人材が基幹病院や地域の医療現場に配属される等、都市部や地方に関わらず適材適所への量的・質的至適医師配置が医療界で求められている気がしています。臨床研修医制度同様、現状の新専門医制度がその妨げになるのではと心配しているのは私だけではないでしょう。香川県全体において言える事ですが、高齢者の多い地域住民は、多くの疾患を同時に抱えており、総合的な診療を必要とすることも多く、“狭意味の専門医”のみでは一人の老人に3~4人の専門医が主治医と成らざるを得ない医療では全く現実味がなく、総合診療の重要性が再認識される事を願っております。香川県全体が地域ですので、社会が期待するspecialを目指しながら、all roundも会得した万能型総合診療医が数多く香川県の医療を支えて下さる事を願っております。現在坂出市立病院には各診療科に多くの専門医が在籍しておりますし、専門医を目指す新人医師も多く研修に来ております。豊かな人間性と正しい倫理観を兼ね備えた医師、ならびに医療人を育てる事も当院の使命と感じております。

かつて医学部の無かった香川県下の医療は、近隣の岡山大学、徳島大学、遠くは京都大学、大阪大学等々の多大な協力の下、成立致しておりました歴史があります。一方、香川医科大学が創設され、はや39年が経過致しました。途中発展的に香川大学と統合し、香川大学医学部へと変遷しました。香川県に唯一存在する医学部でございますので、今後県下の医療は、香川大学を中心とした体系に再構築されることが自然の形態かと愚推致しておりますし、期待もしております。香川大学医学部の卒業生は既に3,000人を超え、香川県下に870名もの医師が医療に携わっており、その多くは大学勤務となっており、まだまだ地域の医師不足の解消には至っておりません。“我がの事より全体を”“個の最適化より全体の最適化へ”と舵を切る必要性を感じています。昨年香川大学新学長に筧善行前泌尿器科教授が就任され、新たな大学創生に邁進されますので大いに期待致しております。

直面する医療界における2025年問題、難問です。7年後に迫った2025年、第一次ベビーブームであった昭和22年~24年生まれのいわゆる団塊の世代が一期に75歳以上の後期高齢者群になり、日本全体が世界でも類を見ない本格的な超高齢化社会に突入します。現行の医療体制では破綻すると言われており、行政主導の地域包括ケアシステムに代表される地域医療構想の実質的確立が急務となっております。医療界における2025年問題は、少ない医療資源を有効に活用し、人口構成にベストマッチした医療・介護・福祉の充実した実践と、かたや増加の一途をたどる医療費を抑制する、一見相反する宿題を解決しなければなりません。少ない費用で高齢者の医療・介護・支援を地域で効率的に行う医療体系を早急に構築する必要があります。香川県全体では総病床数を2025年に向けて11,791床から10,112床へと1,679床減少させ、中でも急性期病床を6,606床から3,386床へと極端に減少させる調整が計画されています。最終的には病床稼働率、平均在院日数、紹介・逆紹介率、救急車受応数、手術数、看護体系、看護重症度・必要度、平均単価、DPCデータ、出産数・・・・等々の様々な数値から県(知事)の命令が下されそうです。医療難民が出ない調整に落ち着けば良いのですが。

当院に限らず最近の公立病院の使命は、医療の質と経営の質の両立が求められております。難問ではありますが坂出市立病院も経営と医療の質の両立を目指し、未来を見据えて職員一同邁進致します。今後とも市民の皆様のご理解、ご協力をよろしくお願い致します。

 

  

2018年4月  坂出市立病院 院長 岡田節雄

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