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所信表明

印刷用ページを表示する更新日:2021年6月17日更新
 令和3年6月定例会の開会に際しまして,私の市長就任にあたり,市政に対する所信の一端を申し述べ,議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げるものであります。
 この度の市長選挙におきましては,多くの市民の皆様からご支援を賜り,市政運営を担わせていただくことになりました。来年7月,市制施行80周年という節目を迎える故郷「坂出」の新市長として,大変な重責に身の引き締まる思いであります。
 まず,はじめに,新型コロナウイルス感染症についてでございます。昨年1月,国内で初めて感染者が確認されて以降,今なお新規の感染者が相当数発生し,収束の兆しが未だ見通せない状況であります。これまで,新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に,心からお悔やみ申し上げますとともに,現在,療養中の皆様の一日も早いご回復をお祈り申し上げます。さらに,医療の最前線において,新型コロナウイルス感染症と対峙し,日夜,感染拡大防止や治療などに奮闘されている医療従事者の皆様に深い敬意と感謝の意を表します。
 新型コロナウイルス感染症が及ぼした影響は甚大であり,社会・経済のあり方や私たちの生活に大きな変化をもたらしました。日常における感染リスクをはじめ,日々の暮らしや事業活動に不安を抱えている市民の方々も多くおられます。市長として,最優先で取り組むべき課題は,新型コロナウイルス感染症への対策に万全を期し,市民の皆様の安全,安心を確保することであります。円滑なワクチン接種の推進,さらには,コロナ禍において影響を受けた暮らし,雇用,地域経済の回復に向け,即効性・実効性を伴う施策を早急に講じてまいります。特に,新型コロナウイルス感染症対策の切り札となるワクチン接種については,医師会や医療機関との連携体制の強化を図ることにより,市全体で加速化させてまいります。

 私は,故郷「坂出」が活力を失っていく様を目の当たりにし,昨年12月,「坂出は必ず生まれ変われる」と信じ,「坂出再生」を掲げ,市長選挙への立候補を表明いたしました。選挙期間中,多くの方からの,まちの姿を変えて欲しいという切なる願いに触れるなか,大きな変革を待ち望む想いがいかに強いものであるか,身をもって感じてまいりました。
 本市は,重要港湾坂出港,番の州工業地帯,本州四国連絡橋など全国に誇れる高い産業集積機能と交通結節機能を備えて発展を遂げてまいりました。先人が,たゆまぬ努力により築いた財産に加え,今,市民の皆様からの要請は,まちの将来への期待値を高め,次代を担う若い世代から「住みたいまち」として選ばれる新たなまちづくりです。
 我が国の人口は,少子高齢化が急速に進展した結果,平成20年をピークに減少局面に入り,加えて,地方と東京圏の経済格差の拡大等を要因として,若い世代の地方からの流出と東京圏への一極集中の構造が長期間にわたり継続しております。
 本市の人口も,昭和51年の約6万7千人をピークに,その後は減少の一途を辿り,現在は約5万人と深刻な現実を突きつけられております。この間,企業誘致は順調に進捗したものの,人口減少に歯止めを掛けるまでには至っておりません。この厳しい現実を直視し,現状を漫然と受け入れることなく,まちの印象を活気と魅力あふれるものに刷新しなければなりません。
 私は,「まちづくり」においては,民間事業者や住宅購入者が「まちの価値」を選ぶという視点を忘れてはならないものと考えております。「まちの価値」を高め,民間投資を誘導する基盤を整え,全ての市民が誇りを持ち,将来に夢や希望を抱き,安心して暮らせるまちへと再生する強い決意を持って市政運営に臨む覚悟でございます。
 そのため,まず,「中心市街地におけるまちづくり」では,まちのイメージを変革し,新しいまちの創造に向けた取組を進めてまいります。
 JR坂出駅は1日の乗降客数が四国第4位を誇り,駅周辺は,利便性が極めて高いエリアでありますが,新規の商業施設の建設が進まず,エリアの価値に見合った活用が図られていない現状にあります。
 私は,まちの再生には,行政主導でビジョンを明確に示すことにより,民間の投資意欲を活性化させることが必要であると考えております。将来の方向性を定める枠組みに加え,志のある民間プレーヤーの発掘とマッチングできる枠組みも重要なポイントとなります。その後は,行政主導から民間主導へと転換し,さらに,新たな民間投資を呼び込むことで,本市の「顔」ともいえる駅前を再生し,エリア全体の評価の上昇につなげてまいります。
 また,住みたいまちに選ばれるためには,全ての世代が安らぐことができる心地よい空間を創造し,暮らしに豊かさを創り出すことが必要であります。
 工業地域と住居地域との緩衝機能を担ってきた緩衝緑地については,自然と人が「集まる」というコンセプトのもと,環境保全機能を保持しつつ,従来のイメージを払拭し,子育て世代や高齢者が日常的に集える「市民の居場所」へと再生してまいります。新たな公園が,多様な市民活動を生み出す源となり,ここから,まちの新たな価値を生み出していくことを目指してまいります。
 「子育て・教育」では,駅前の拠点づくりや緩衝緑地の再整備など中心市街地のにぎわい創出を基軸としたまちづくりの効果を生かし,他に先駆けた大胆な子育て支援措置との相乗的な作用による,子育て世代から選ばれるまちを目指してまいります。
 学校教育では,多様性を認め合い,ICT等も活用しながら幅広い知識と柔軟な思考力を持つ人材を育成してまいります。児童生徒が,地域への愛着を深め,故郷への思いを醸成できる教育環境の実現に向けた取組を進めるとともに,夢のある子育てを全力で支援する姿勢を子育て世代に積極的に示してまいります。
 さらに,妊娠,出産から子育て期にわたり,安心して子育てができるよう,きめ細かな切れ目のない支援を推進してまいります。
 「市民生活を守る」ため,子どもから高齢者までの全ての世代の方が安心して暮らし続けられるまちづくりに最大限の努力を傾けてまいります。
市立病院につきましては,中讃地区唯一の第二種感染症指定医療機関として,市民の皆様の命を守るため,国からの財政支援も有効に活用しながら,医療提供体制の確保に最善を尽くしてまいります。
 コミュニティバスの運行経路の延伸等,現在の市内の公共交通網を抜本的に見直し,市民の移動手段の確保と利便性の向上を図るとともに,防災対策では,災害弱者の安全確保を図り,「誰ひとり取り残さない」仕組みを整えてまいります。
 雇用と地域経済につきましては,これまでの企業誘致はもとより,地元企業の育成,地場産業や農林水産業の振興等についても,「選ばれる」という戦略的な視点からの取組を進め,地域経済の活性化と雇用機会の創出に向けた事業の展開を図ってまいります。

 コロナ禍にあって,本市を取り巻く環境は日々刻々と変化しています。また,コロナ後の社会経済情勢は,不透明な要素を多くはらんでおりますが,打撃を受けた地域経済の回復はもちろんのこと,アフターコロナの視点を持った地域社会の構築に向け,機動的に対応できるよう速やかに準備を進めてまいります。
そして,「坂出」の10年,20年先を見据え,新たなまちづくりを積極果敢に進めるため,職員と一丸となって,揺るぎない決意を持って全身全霊で挑んでまいる所存であります。
 何卒,議員各位並びに市民の皆様の一層のご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。