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施政方針

印刷用ページを表示する更新日:2023年3月18日更新
 令和5年3月定例会の開会にあたり,提出いたしました諸議案のご審議をお願いするに先立ちまして,新年度の施政の方針について申し述べたいと存じます。

 今なお世界規模で猛威をふるう新型コロナウイルス感染症は,人々の日常生活のみならず,感染拡大による事業活動の停止やサプライチェーンの分断など世界中の産業に甚大な影響を及ぼしました。我が国におきましては,コロナ禍に対する行動抑制の緩和が進むなか,感染者数・死者数は高止まりしており,依然として予断は許されない状況が続いております。一方,経済においては,コロナ禍の3年間,アクセルとブレーキが繰り返され,さらに資源や食料品価格の高騰に加え,急激な円安による物価高が企業や市民生活を直撃し,市民の皆さまは懸命に耐え忍んだ3年間であったと思います。
 これからは,アクセルを踏むのではなく,徐々にブレーキを緩めながら,本市としても市民の皆さまに対して機動的できめ細やかな支援策を講じることにより,引き続き市民生活を守ることを最優先として市政を担ってまいります。
 私が「坂出再生」を掲げ,市長に就任して早や1年9ヵ月を迎えようとしております。この間,市政運営に対していただきましたご支援・ご協力に感謝申し上げますとともに,改めてこの職責の重さを痛切に感じております。
 来月10日には世紀のプロジェクトと謳われた瀬戸大橋の開通から35周年を迎えることになります。昭和63年初めて四国と本州が陸路で結ばれた瀬戸大橋の開通時,私は本市の無限の可能性に感情が高ぶったことを鮮明に記憶しております。しかし,今日まで本市の人口減少は止まらず,受け身になっていては何も生まれないと考え,市長就任からこれまで,人口減少に歯止めを掛けるため,また激しい都市間競争の中で,住みたいまちへと変貌を遂げていくため,様々な施策を打ち出してきました。そして坂出再生を成し遂げることにより,輝きを取り戻し,将来にわたって持続可能なまちをつくることが私に課せられた使命だと考えております。

 本市には,3つの玄関があります。ヒトの玄関はJR坂出駅,クルマの玄関は坂出北インターチェンジ,モノの玄関が重要港湾である坂出港であります。そのうち,私の公約の一丁目一番地と位置付けておりますヒトの玄関であるJR坂出駅前における図書館機能を核とした複合施設の整備や,クルマの玄関である坂出北インターチェンジに近接する坂出緩衝緑地の再整備について,昨年11月には,次世代を担う市内高校生等で構成されたさかいで未来会議において5月からの議論を取りまとめた提言をいただいたところであります。また,9月には,まちづくりにおける有識者等によって構成するさかいで再生会議を設置しており,これらのご意見を拝聴しながら,本年度中に坂出駅周辺再整備基本構想を策定してまいります。
 坂出駅周辺再整備基本構想では,まちづくりアンケートも含め,皆さまから幅広くいただいたご意見やご提案を踏まえ,「歩いて楽しいまちの実現」,「心地よく過ごせる市民の居場所づくり」,「市民との共創によるまちづくりの推進」という3つのコンセプトのもと,「みんなの"ココチよさ"がかなうまち」をめざしてまいります。
 まず,「歩いて楽しいまちの実現」に向けては,JR四国管内第4位の乗降客数を誇り,本市における地域公共交通の重要な結節点となっている坂出駅前エリアや,中心市街地北側に位置し,令和6年度には坂出北インターチェンジのフルインター化およびさぬき浜街道の4車線化によってさらなる交通量の増加に伴う交流人口の拡大が見込まれる坂出緩衝緑地エリア,建築界からの評価も高い坂出人工土地エリア,港町坂出において中心市街地に一番近い水辺空間である西運河入船エリア,中心市街地内では最大の公共用地である旧市立病院跡地エリア,坂出駅や坂出人工土地,西運河入船エリアをつなぐ箇所に位置する商店街エリアの6つのエリアにおいて居心地の良い居場所づくりを行い,まち全体をつなぎ合わせ,回遊性を生み出すことにより,歩きたくなるような"ウォーカブルなまちづくり"を実現してまいります。
 次に,「心地よく過ごせる市民の居場所づくり」では,坂出駅前エリアにおいては,そのポテンシャルをいかすべく,様々な世代の方が気軽に立ち寄ることができ,学生や市外からの来訪者を含めたすべての人にとって"まちのリビング"と呼べる居場所とすることにより,中心市街地を牽引する場(Station Gate)として,また坂出緩衝緑地エリアにおいては,中心市街地への玄関として坂出の魅力発信を行い,豊かな自然環境と長大な空間をいかし,多様な世代が集い,交流する市民の活動拠点を創出する場(Community Gate)と位置付け,両エリアを重点的に整備してまいります。
 坂出駅周辺再整備基本構想は,市民の皆さまとの共創による坂出再生への第一歩となり,これからの本市の進むべき道標となるものであります。そして,これらまちづくりの実現には,市民の皆さまや民間事業者など多様な主体との連携や協働が必須となります。今後は,策定いたしました坂出駅周辺再整備基本構想の具現化に向け,各エリアの強みや個性をいかしたまちづくりを公民連携で進め,エリアの価値の向上をめざした取組を加速させてまいります。

 人口減少,超高齢社会の到来,都市部への人口集中を背景として,適切に管理されていない空き家等は年々増加し,放置された空き家が治安や衛生面,景観の悪化をもたらすなど,深刻な社会問題となっております。特に本市においては,空き家率が香川県内でワースト1位という看過できない状況となっており,空き家の増加がまちの新陳代謝を妨げ,発展を阻害していると考えております。この空き家問題を早急に解決し,市街地の良好な景観の形成によるまちの魅力向上を図るため,本年度は空き家に関する全般的な相談窓口の設置や空き家の無償譲渡を希望する方と活用したい方をつなぐマッチング,解体を検討する方に対し,費用の概算を試算できる解体費用シミュレータの提供,相続登記を促進する情報発信のため,新たに民間事業者4社と連携協定を締結するなど,精力的に空き家対策に取り組んでまいりました。
 私は,基本的に空き家問題の本質は,適正に管理されず"価値のない物件となること"と考えており,価値を持たすことにより空き家問題は解消できるものと考えております。
 そこで新年度は,これまでの取組に加え,空き家を除却した場合,翌年度から固定資産税を最大5年間減免する税制面での優遇制度を設け除却を促進するとともに,空き家の利活用についても,事業所向けの空き家改修の補助制度を創設するなど,より一層,空き家対策を強力に展開してまいります。

 本市の人口は昭和51年の約6万7千人をピークに,その後は減少の一途を辿り,現在は5万人を下回り人口減少に歯止めが掛からない大変厳しい現実を突きつけられております。我が国全体の人口が平成20年をピークに減少するなか,地方都市における人口増加は容易なことではございませんが,その難題に対し果敢に挑まなければ一層の後退を招くことになります。私がめざすまちづくりは,子育て世代をターゲットにした子育て世代に選ばれるまちづくりであり,まさに人口減少への挑戦であります。
 そして,子育て世代に選ばれるまちづくりの実現には,"将来,家庭を持って働くイメージ"を持てることが重要だと考えております。そのためには,ソフト・ハード両面からのアプローチが求められますが,昨年4月よりいち早く実現させた市内小学校の給食費無償化は,次世代を担う子どもたちの成長を市民全体で支える施策であり,物価高,原材料高の渦中でも安心して子育てができるまちとして本市の姿勢を大いに示したものであります。
 また,本年1月からは,不妊治療費助成事業の助成限度額の引き上げや産後ケア事業の負担軽減,さらに新年度は,35歳から39歳までの女性を対象にした無料の乳がん検診の実施,一定の要件を満たした東京圏からの移住世帯を対象とした移住支援金における子ども1人当たりの加算額の拡充など,さらに歩を進めた人口増施策を進めてまいります。
 新型コロナウイルス感染症は,社会の変革を迫りました。東京圏への人口集中の是正と人口の減少に歯止めを掛けようとする地方創生の取組は,新型コロナウイルス感染症の出現を契機として新たな局面を迎えております。この機を捉え,アフターコロナの地域づくりを戦略的に進め,真に選ばれるまちとしての地位を確立するためには,市民の皆さまが誇りと愛着を持つことができる,うるおいと活力に満ちたまちづくりを進めなければなりません。
 そして,社会全体が日々,劇的な変化を遂げるなかにあって,周辺の自治体のスピード感もしっかり見ていかなければ,近隣他市町に遅れをとってしまいます。生き残るには,変化が不可欠であり,現状維持は後退を意味し,時代に合わせてまちの姿を変えていく必要があります。これまでの延長線上にない「新しい坂出」を創るため,揺るぎない覚悟を持って挑戦してまいる所存でありますので,議員各位ならびに市民の皆さまのご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 このような方針を基に編成いたしました新年度予算は,一般会計で241億5,300万円,特別会計では129億4,227万3千円,企業会計としては,病院事業会計で75億1,723万8千円,下水道事業会計では24億5,202万5千円を計上いたしました。以下,主な事業の概要について,まちづくり基本構想に示す6つの大綱に沿ってご説明いたします。

第1の目標は,「すべての人がいきいきと輝くまちづくり」
であります。

 先ほど申し上げましたとおり,昨年4月より取り組んでおります本市の最重要プロジェクトである坂出駅周辺再整備に向けた基本構想の策定作業は最終段階に入っております。現在,パブリックコメントを実施しており,皆さまからいただきましたご意見も踏まえ基本構想の策定が完了するという運びとなります。
 策定いたしました基本構想に基づき,新年度は,市民の皆さまとのワークショップや事業者との対話等を実施し,整備を予定している施設の機能や整備水準の検討,公民連携事業スキームの制度設計を行ってまいります。その後,要求水準の設定や募集要項を作成し,事業者の募集・選定を行うこととしております。
 また,ポテンシャルが高い6つのエリアのうち,坂出駅前エリアと並び重点的に整備していくこととしている坂出緩衝緑地エリアについては,現在,基本計画の策定作業に取り組んでいるところであります。策定作業の過程において近隣住民の方や子育て世代の方をはじめとして公募によりご参加いただいた皆さまとのワークショップを実施しており,いただいた夢やアイデアを基本計画に反映させ,多様な世代が集い,交流する市民活動拠点の創出に取り組んでまいります。
 新年度は,事業者の選定など坂出駅周辺再整備に向けた事業が本格的に動き始める重要な年となります。用意した真っ白なキャンバスに民間事業者のノウハウをいかしながら,創意工夫を凝らして市民の皆さまとともに絵を描き,その絵を現実のものとして1つの作品を完成させ,誰もがわくわくするような刺激や人が集いくつろげる場所を次々と生み出し,「みんなの"ココチよさ"がかなうまち」の実現につなげてまいります。
 本市が抱える課題に公共施設の老朽化があります。施設の老朽化に伴い,維持管理や修繕,更新費用が増大し,財源の確保が厳しい状況となっており,健全財政を維持するためには,財政負担の軽減と平準化への一層の取組が必要であります。
 老朽化した田尾火葬場については,昨年度策定した坂出市新火葬場整備基本構想を受け,現在は基本計画の策定を進めておりますが,候補地の選定にあたっては,資材の価格高騰の状況も踏まえ,建設費用の積算を慎重に行うとともに,環境への影響を調査しながら,新年度中に提案してまいります。併せて施設の建設から整備後の運営方法についてPFI方式も含め,最善の手法を検討してまいります。
 積極的な自主財源の確保のため,ふるさと納税の増収に向け,本年度はポータルサイトの追加,新規事業者の開拓や魅力ある新たな返礼品の発掘など積極的に取り組んでまいりました。これまでの取組に加え,新年度には,市外から本市を訪れた方が,その場でふるさと納税の寄附をすると同時に食事等に使用可能な電子ポイントが付与される決済サービスを導入することとしており,さらに地域活性化起業人制度を活用して民間企業から専門的な知識を有する人材も受け入れてまいります。また,潜在能力は高いものの市場に埋もれている魅力ある商品等を返礼品としてラインナップすることなどにより寄附額の増加をめざしてまいります。
 新型コロナウイルス感染症は,私たちのワーク・ライフスタイルに大きな変化をもたらし,日常生活はもとより,経済活動や教育現場・医療現場などあらゆる場面においてデジタル化が急速に進展しています。国は,デジタル田園都市国家構想を掲げており,特に,マイナンバーカードをデジタル社会のインフラと位置付け,普及促進に取り組んでいるところであります。本市においても,本年度実施いたしましたQUOカード進呈事業の効果等により,本年1月末時点の申請率は約76.52%となっており,市民の皆さまのご理解とご協力に感謝申し上げます。現在,マイナンバーカードを利用したオンラインサービス「マイナポータル」において27の行政手続きが行えるよう環境整備を進めているところであり,今後は民間事業者とも連携し,マイナンバーカードの利活用ができる場面の創出に取り組んでまいります。
 市税の納付については,現在,固定資産税をはじめ4税目で既にスマホ決済を導入しておりますが,新年度からは,固定資産税,軽自動車税の種別割,個人住民税の普通徴収について,地方税ポータルシステムを利用したクレジットカード決済への対応や納付が可能となる金融機関を拡大するなど,納税者の皆さまの利便性と収納率の向上につなげてまいります。また,市役所窓口における証明書等の交付手数料の一部について,キャッシュレス決済を導入してまいります。
 男女共同参画社会の形成については,女性活躍推進法により,あらゆる分野において女性が働きやすい社会づくり,多様な働き方の実現と活躍推進を加速させております。一方で,育児・介護休業法の改正により,男性の出産時育児休業の創設が企業に義務化され,今後男性の育児参加がより一層図られることとなり,育児・介護に関する制度の充実などお互いが対等なパートナーとして協力しあうことができる環境が醸成されていくものと考えます。本市においても,法改正の趣旨を踏まえ,第2次坂出市男女共同参画計画に基づき,「だれもがともに輝き 認め合い 創るまち」の実現に向けて,庁内のみならず関係団体とも連携を図りながら積極的な啓発活動を行ってまいります。

第2の目標は,「安全で環境に優しく持続可能なまちづくり」
であります。

 本市は,令和3年9月に温室効果ガス排出量実質ゼロをめざす「ゼロカーボンシティ」を宣言し,その実現に向けて本年度においては坂出市再生可能エネルギー導入推進計画の策定をはじめ,宅配ボックスの普及促進事業,本庁舎および教育会館への再生可能エネルギー100%電力の導入,建設課が管理する道路照明灯の一斉LED化,市指定ごみ収集袋をレジ袋として利用できる取組など分野横断的に施策を進めてきたところであります。また,坂出港においては,温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることをめざす坂出港港湾脱炭素化推進計画の策定に取り組んでいるところであります。さらには,気候変動対策に積極的に取り組む自治体の世界的コミュニティである「世界首長 誓約 /日本」への誓約のほか,脱炭素社会の実現に向け,ともに国への提言等を効果的に進めていくゼロカーボン市区町村協議会への参画など同じ志を持つ全国の自治体と連携して地球温暖化対策をより積極的に進めていく準備を整えたところであります。
 新年度は,公用車として電気自動車を2台導入するとともに,都市整備課が管理する公園,市営テニスコートのほか合同庁舎内の市専用部分等の市有施設の照明設備をLED化するなど,環境負荷の低減への取組を進めてまいります。
 坂出市再生可能エネルギー導入推進計画および坂出港港湾脱炭素化推進計画を反映させた坂出市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)を策定し,ゼロカーボンシティの実現に向けたロードマップの作成と施策の具現化を図り,取組を加速,深化させてまいります。
 市域全体に向けた脱炭素意識の醸成と共有化に向けて,ゼロカーボンシティをイメージしたロゴマークを作成し,さらにマイボトルの普及促進およびプラスチックごみの削減へとつなげるため,マイボトル給水機を市内の施設に設置する取組を開始いたします。
 ゼロカーボンシティの実現には,市民の皆さま,企業,行政が一体となった取組が必要であります。特に,市民生活において,省エネと創エネによりトータルでエネルギーの消費量をゼロにする住宅のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化は,極めて有効な手段であります。ZEH住宅の普及促進のため,新年度より3年間の時限措置として,一定の基準を満たした新築一戸建てのZEH住宅を取得された方を対象に,「だったら,さかいで 本気でゼロカーボン生活応援補助金」を創設いたします。これによりエネルギーを自給自足し,災害にも強いZEH住宅の取得を促進するとともに,本市への移住・定住にもつなげてまいります。
 地域防災力の強化に向け,港湾における地震および津波対策といたしまして,香川県地震・津波対策海岸堤防等整備計画に基づき,本年度,護岸等の整備に係る調査を実施した西運河地区について,新年度は,護岸整備の設計完了後,整備工事に着手いたします。
 発災時,携帯電話の回線にアクセスが集中して利用できない場合であっても,避難所に来られた方がソーシャルメディア等のインターネットを通じた安否情報等を効果的に受発信できるよう指定避難所となっている市立体育館の1階ホールと2階小アリーナにおいて公衆Wi-Fi環境を整備したところであり,引き続き災害への備えに努めてまいります。
 消防力強化については,緊急通報受付,災害場所の特定および出動隊の編成等を担う消防緊急通信指令施設のうち,指令系システムを更新するとともに,携帯型無線機の増強や消防団配備の小型動力ポンプ積載車等を計画的に更新し,引き続き市民の皆さまの安全・安心を確保してまいります。浸水想定区域に位置し老朽化が著しい与島分団櫃石屯所については,旧櫃石中学校の一部の改修および車両,資機材収納庫を増築し,災害時における防災活動拠点として整備してまいります。

第3の目標は,「健康で安心して暮らせるまちづくり」
であります。

 令和2年1月に国内で初めて確認されてから3年あまりが経過し,私たちの生活スタイルを大きく変容させた新型コロナウイルス感染症は,本年5月8日に感染症法上の位置付けを2類相当から季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げると同時に医療費の自己負担分に対する公費支援や医療体制等が見直されることとなりました。「家庭,学校,職場,地域あらゆる場面で日常を取り戻すことができるよう着実に歩みを進める」との方針から,患者への入院勧告や感染者と濃厚接触者への行動制限は撤廃されることとなり,新型コロナウイルス感染症との戦いは,新たな局面を迎えることとなります。
 坂出市立病院では,今後の国の方向性を見定めつつ,ウィズコロナ・アフターコロナへの対応のため,検査体制や人員配置の見直しを図ることにより,最適な医療を提供し,市民の皆さまの生命と健康を守る公立病院としての使命を果たしてまいります。一方,令和6年4月から実施される医師の働き方改革に対応するため,勤務環境の改善および医療提供体制の確保に向け,必要な措置を講じてまいります。また,持続可能な地域医療提供体制の構築および中期的な経営指標を設定し,健全な病院運営を図るため,公立病院経営強化プランを策定いたします。
 高齢・障がい・子ども・生活困窮分野については,現在増加している複合的な課題を抱える方に対し,既存の相談・支援窓口において,関係団体が連携することにより包括的な支援体制を構築してまいります。そのため,新年度から移行準備に取りかかり,令和7年度からの本格稼働に向けて庁内横断的な連携や関係団体との協力体制づくりに取り組んでまいります。
 介護予防や認知症施策を含む各種事業については,現行の第8期介護保険事業計画に基づいて事業を実施しながら,新年度は高齢者福祉計画および第9期介護保険事業計画を策定してまいります。
 障がい福祉については,障害者基本法に基づく坂出市障がい者福祉計画の中間見直しを行うとともに,障害者総合支援法に基づく第7期坂出市障がい福祉計画を一体的に策定してまいります。本年度は,坂出市手話言語条例および坂出市障がいのある人の情報保障およびコミュニケーション手段の利用促進に関する条例を制定したところであり,今後は関係団体と連携を図りながら,障がい者等に対する理解を深めるため,出前講座等を実施してまいります。
 子育て支援の充実については,子育て世代に選ばれるまちをめざし,妊娠・出産・子育てまで切れ目のない支援策を積極的に講じてまいります。
 出産1年未満の期間は,ホルモンの変化や育児に関して不安になりやすいことから,母子等を対象に市内外の助産所等の委託施設に宿泊・通所または助産師が自宅訪問等を行い,助産師が母親の休養,育児指導等を行う産後ケア事業を実施しております。本年1月より,通所型・訪問型について利用者負担を無料としており,助産師が具体的な指導を行うことによって,母親自身がセルフケア能力を育み,母子の身体的回復と心理的な安定を促進するとともに愛着形成を促し,その家族が健やかに育児ができるよう支援を継続してまいります。 
 また,昨年4月より不妊治療が保険適用になりましたが,保険適用後において治療の内容によっては,従来の制度より自己負担額が増加する場合が発生しておりました。現在の先進医療の進歩や少子化の現状を踏まえ,昨年10月より新たに市独自の自己負担助成制度を創設し,治療を受けられる方の経済的負担を軽減しております。さらには本年1月から,自己負担額助成の限度額を引き上げ,先進医療等高額な治療費に対して一層の経済的負担の軽減を図っております。他方,現在,中学校卒業までを対象としている子ども医療費助成を,新年度には18歳になる年の年度末までに拡充することで,引き続き切れ目のない支援を実施し,子どもを産み育てやすい環境の整備に努めてまいります。
 乳がん検診は,現在,健康増進法により40歳以上の女性が対象となっておりますが,乳がんの罹患率は30歳代から急激に高まることから,新年度より,35歳から39歳までの女性を対象とする超音波検査を実施いたします。それにより,乳がんの早期発見,早期治療につなげるとともに,子育て世代に対し,がん検診への関心を高め,継続的な受診を促してまいります。20歳以上の働く女性を対象に実施しております子宮頸がん検診については,現在の休日検診だけでなく,新年度より18時から20時までの夜間検診を開始し,仕事と子育てを両立しながら受診できる体制を整え,受診率の向上を図ってまいります。さらに,若年がん患者在宅療養については,新年度より20歳から39歳までのがん患者の方が,医師から回復の見込みがない状態に至ったと判断された場合,自分が住み慣れた自宅等で自分らしく過ごせるよう在宅療養に必要なサービス等の費用に対して一部を助成し,本人および家族の経済的な負担を軽減してまいります。
 子育て支援については,リユース品等を活用したチャイルドシート貸出事業に取り組みます。チャイルドシートを再利用することにより,子育て家庭の経済的な負担の軽減を図るとともに,環境に対する負荷を減らす意識の醸成やSDGsへの取組にもつなげてまいります。
 公立と民間の保育施設では使用済紙おむつについて,現在,大部分の施設で保護者の方に持ち帰っていただいておりますが,保護者の方の負担および使用済紙おむつの分別に係る保育士の負担軽減,さらには衛生面の配慮から新年度より公立と民間の保育施設で使用済紙おむつの自園処分を実施いたします。公立保育施設では速やかにダストボックス等を整備するとともに,民間保育施設へは自園処理にかかる費用を助成してまいります。
 また,ファミリーサポートセンターについては,生後6ヵ月以上から小学校卒業までの子どもを養育するひとり親家庭等について,新年度より利用料の一部を補助してまいります。
 認定こども園の整備については,加茂地区において,令和6年度から認定こども園へ円滑に移行できるよう準備を進めてまいります。
 人権尊重社会については,昨年6月にパートナーシップ宣誓制度を導入し,性の多様性への理解を深め,誰もが自分らしく生きていくことができる社会の実現をめざしております。新年度は,5年ごとの人権に関する市民意識調査の実施年にあたり,パートナーシップ宣誓制度の認知度調査を新たに追加して,その調査結果を詳細に分析いたします。そして,今後の効果的な啓発へとつなげていくとともに,企業における人権に関する取組を支援するほか,法務局や人権擁護委員との連携のもと人権相談の充実に努め,学校,家庭,地域,職場などあらゆる場と機会を通じて人権尊重意識の普及が図られるよう,積極的に人権教育・啓発を推進してまいります。

第4の目標は,「未来を拓く力をはぐくむまちづくり」
であります。

 坂出中学校1年生の頃から新体操の日本のエースとして活躍し,本市出身者として57年ぶりにオリンピックに出場した喜田選手が現役の引退を表明されました。新体操競技発展の功労者である喜田選手には心からの拍手を送るとともに,パラリンピックのカヌー競技に出場した今井選手,世界水泳選手権で銀メダルを獲得した花車選手といった日本を代表する選手が今後も本市から誕生することを期待したいと思います。
 中学校の部活動については,少子化による生徒数の減少が進むなか,将来にわたり子どもたちがスポーツ・文化活動に継続して親しむことができる機会を確保するため,学校から地域へ委ねられる「地域移行」が新年度から段階的に始まります。学校教育の一環として行われている部活動は,責任感・連帯感の涵養,自主性の育成に寄与し,人間関係の構築,自己肯定感の向上など教育的意義のある活動であり,その意義を地域活動においても継承・発展させるとともに,教員の働き方改革にもつながる環境づくりを進めてまいります。新年度は関係者による協議会を設置し,円滑な部活動の地域移行について,本市全体やそれぞれの中学校の実情に応じた検討を進めてまいります。
 学校給食については,子育て世代に選ばれるまちづくりをめざし,香川県内の他自治体よりいち早く小学校給食費の完全無償化を実現いたしました。子どもたちのふるさとを思う心を育み,将来の人口増加につなげることを目的とした施策でありますが,結果的に,物価高騰に直面する子育て世代の経済的負担の軽減にもつながったものと考えております。
 本年度2学期から市内幼稚園,小中学校に給食の提供を開始した学校給食センターでは,安全・安心な給食の提供はもちろんのこと,給食を接点とした知識の向上を図るとともに,地元の生産者等からの協力を得て,坂出三金時等の地場産品を提供することで,子どもたちのふるさとへの愛着と誇りを醸成しており,今後さらに地場産品の幅広い活用に向けて地元生産者等と連携してまいります。また,国のGIGAスクール構想の実現に向け整備したネットワークを活用したメニュー等の動画配信や坂出第一高等学校食物科の生徒が考案した給食メニューを取り入れるなど,子どもたちにとって給食がより身近で親しみやすくなる取組も進めております。併設する調理実習室においては,食に関する講師を招き,幼稚園,小学校の子どもたちと保護者を対象に,地元の食材を活用した料理教室を開催するなど,引き続き食育に関する事業に取り組んでまいります。
 学校再編については,基本的な考え方および具体的方策について検討結果を取りまとめた学校再編整備検討委員会からの答申を踏まえ,子どもたちにより良い教育環境を提供するため,望ましい学校の適正規模や適正配置を示した基本方針を策定してまいります。
 王越公民館については,施設の老朽化が著しく,多額の修繕費用を要することから,新年度は交流の里おうごしの施設内へ公民館機能の移設・集約化を図るとともに,王越公民館および旧王越幼稚園を解体・撤去後は隣接する保健センター等の駐車場として整備してまいります。また,他の廃校となった校舎等においても老朽化した施設の解体,利活用について検討してまいります。
 落雷により被災した国宝神谷神社については,国・県と十分な協議を進めながら改修の支援を行い,地域の貴重な国宝文化財の保護・継承に努めてまいります。
 讃岐国府跡については,史跡讃岐国府跡保存活用計画に基づき,順次,史跡指定範囲の公有地化を図りながら,史跡の適切な管理に取り組むとともに,開法寺跡については,国の史跡としての追加指定に向け,伽藍配置や寺院の敷地など実態解明に向けた分析を進めるとともに測量調査を実施してまいります。
 国際交流の推進については,新年度はサウサリート市との姉妹都市提携35周年を迎えます。過去3年間は,新型コロナウイルス感染症の影響により,姉妹都市サウサリート市への短期留学生の派遣中止を余儀なくされ,この間,オンライン交流等により友好関係の維持・向上に努めてまいりました。今後の新型コロナウイルス感染症の状況を見極めつつ,35周年という節目を記念して,7月には公式訪問団がサウサリート市を訪問し,現地での記念式等に出席するとともに,10月には,サウサリート市長,サウサリート姉妹都市協会会長らの来賓をお迎えし,記念式,祝賀会をはじめとした各種記念行事を実施してまいります。さらに,坂出市国際交流協会では,短期留学生を派遣し,現地でのホームステイや各種体験プログラムを通じて派遣留学生の異文化理解の機会を創出するとともに,両市の絆を一層深めてまいります。本市といたしましても,姉妹都市交流の推進,地域の国際化や多文化共生社会の実現に向け,市民参加による国際交流事業を支援してまいります。

第5の目標は,「快適な都市環境を実感できるまちづくり」
であります。
 
 市民ホールは,中心市街地の中で最も人が往来するJR坂出駅前と坂出緩衝緑地をつなぐ動線に位置しており,歩行者の快適性の向上や滞留空間づくりを行うことで,両エリアにつながりを持たせ,にぎわいを創出してまいります。そこで創出されたにぎわいを他のエリアに広げていくことにより,中心市街地全体の再生をめざしてまいります。ランドスケープデザインの要素を取り入れ,魅力ある景観や心地よい空間を創造するため,新年度は市民ホール前広場において,芝生化やウッドデッキの設置等により中心市街地の活性化につながる景観形成を図るとともに,安全面に配慮した整備に取り組んでまいります。
 公園の整備については,"心を豊かにする"まちづくりをめざし,公園を「ひとをつなぎ,まちを育てる拠点」として位置付け,人を「集める」のではなく,人が「集まる」というコンセプトのもと公園の再生に取り組んでまいります。田尾坂公園については,本年度,トイレの洋式化への改修工事と南側にある駐車場を再整備しました。先般実施したまちづくりアンケートでも駐車場不足など利用上の不便さを指摘されていることから,利用者のより一層の利便性向上と安全確保のため,新年度は公園内に駐車場を新設してまいります。
 坂出北インターチェンジのフルインター化にあわせ,聖通寺山高架下公園においては,再整備に向けた基本設計を行うほか,他の公園においても,それぞれ特徴を持たせ,子ども向けに遊具中心の公園,自然環境型の公園,憩いの場型の公園,イベントを開催できる公園など,地域の特性に応じた多種多様な公園づくりを検討してまいります。公園は,地域をいかす場として,改めて公園の価値を考え直し再生することで,まちの中で緑やオープンスペースが連続する"心を豊かにする"まちの実現をめざしてまいります。
 日本庭園と洋風庭園が調和した街なかのオアシスである香風園は,昨年サウンディング型市場調査を実施したところですが,本年度に翠松閣・時雨亭の改装工事や土橋を改修し,現在は西門の改修工事を進めているところであり,再度サウンディング型市場調査を行い,民間事業者からのご提案も参考にしながら,翠松閣や休憩所等のさらなる魅力向上を図ってまいります。
 公共交通については,人口減少や新型コロナウイルス感染症の影響による利用者の減少,物価高騰による運行コストの増大など公共交通事業者の経営状況は,大きく悪化しております。一方で,高齢社会における移動手段確保やコンパクトシティの推進にあたって,公共交通は重要な役割を担っております。本市においては,本年度,「地域全体が主役の,進化し続ける,持続可能な公共交通」を基本理念とした坂出市地域公共交通計画を策定したところであり,市民の皆さまや関係事業者と連携して,まちづくり全体を見通すなかで,地域のニーズに合った利便性の高い公共交通の実現に取り組んでまいります。
 このたび,バスロケーションシステムを導入し,スマートフォン等でバスの位置情報やバス停までの到着時間の遅れ等をリアルタイムで確認できるシステムの運用を開始いたしました。デジタル技術の活用による公共交通の魅力向上や効果的なPRへの取組など利用したくなる公共交通施策を進めてまいります。また,新年度は,バスおよびデマンド型乗合タクシーに無料で乗車できる公共交通無料デーを実施し,バス等を利用したことがない方にも乗車体験を通して,公共交通を身近なものと感じていただくことにより,興味関心を誘引し,その後の利用へとつなげてまいります。さらに,アンケート調査の実施など利用実態や利用ニーズを的確に把握することにより,運行ルートやダイヤの改正,行政区域を跨ぐバス路線の設定を検討いたします。
 都市基盤の整備については,これまで実施してきた京町線・福江松山線・駒止谷内線・駒止大池線の街路に加え,本年度より新設整備に着手している室町谷内線など,円滑な交通の確保,良好な市街地の形成をめざして,5つの街路の整備を引き続き進めてまいります。
 人口減少や少子高齢化の進行,建物の老朽化,新型コロナウイルス感染症の拡大等によるライフスタイルの多様化により,社会情勢が大きく変化しており,市民の皆さまの暮らしの向上や多様な社会活動の実現につなげるため,都市計画区域を対象に用途地域の見直しをいたします。見直しにあたっては,外部有識者等で構成される検討委員会において本市の望ましい土地利用について議論していただくなかで,変更案を作成してまいりたいと考えております。
 港湾事業について,新年度には,中央埠頭4号岸壁において施設利用の安全確保と延命化を図るため,電気防食の改良工事を実施してまいります。また,国際物流の結節点および産業拠点となる坂出港において,今後,発出される国の基本方針を踏まえながら,引き続き脱炭素社会の実現に貢献する坂出港港湾脱炭素化推進計画の策定に取り組んでまいります。
 市営住宅については,本年度に策定する坂出市公営住宅等長寿命化計画に基づき,適正な管理戸数を確保するとともにストックの適正管理・早期修繕により長寿命化を図り,将来的なライフサイクルコストの縮減につなげてまいります。
 空き家問題については,坂出市空家等対策計画に基づき,空き家等の管理はその所有者等に第一義的な責任があることを前提としつつ,所有者,市民の皆さま,自治会等の協力をいただきながら,民間事業者のノウハウや知見を最大限に活用し,有効な対策を重層的に展開してまいります。先ほど申し上げましたとおり,新年度においては,税制面からも空き家の除却を支援いたします。住宅を取り壊した場合,土地に対する固定資産税は翌年度から増額となりますが,一定の要件を満たし,令和5年4月1日以降に取り壊した場合は,土地に対する税の増額分を最大5年間にわたり減免する市独自の制度を新設することにより,老朽化した空き家の除却を促し,地域の安全・安心につなげるとともに,未利用地の有効活用を加速してまいります。

第6の目標は,「元気とにぎわいのあるまちづくり」
であります。
                                    
 コロナ禍の規制が緩和され,社会経済活動の正常化が進んだことにより東京一極集中の傾向が再加速しております。東京圏から地方への回帰の流れを創るためには,地域の魅力向上,産業の活性化と雇用の創出,デジタル化の推進等,施策の総動員が不可欠であります。
 移住定住をより一層促進するため,これまで取り組んでまいりました結婚新生活支援制度,東京圏UJIターン移住支援制度等に加え,新たに取り組むZEH住宅への補助制度等について,移住検討者や住宅購入検討者へ広くPRし,移住定住人口の増加につなげてまいります。また,法人,個人を問わず移住を伴う香川県外の事業者が,空き家バンクに登録されている空き家を事業所として使用するために,改修する際の補助制度を創設するなど移住定住施策を強力に推し進めてまいります。
 遊休農地を活用した市民農園については,本年度,1地区を開園し募集を行ったところ,想定を大きく上回る応募があったことから,新年度はさらに1地区を加え事業の拡充を図ってまいります。これにより,農業従事者以外の方が,土や植物と触れ合いながら,収穫の喜びや新鮮な野菜の美味しさを実感できる機会を提供するとともに,子どもたちの食育や情操教育の場としても利用できるものと考えております。
 農業の振興については,農業振興地域制度および農地転用許可制度の適切な運用を図るため,新年度から2年をかけて坂出農業振興地域整備計画を見直します。耕作者の確保が見込まれない荒廃農地への再生可能エネルギー設備の設置を推進するなど,土地の農業上の有効利用と農業の近代化のための施策を総合的かつ計画的に取り組んでまいります。
 坂出三金時をはじめ,本市の良質な農産品をふるさと納税の返礼品として登録していただくことにより,本市農産品の魅力を積極的に全国へPRし,消費と販路の拡大を図ってまいります。
 企業誘致については,外部の新たな経営ノウハウの取得,技術の向上や顧客ネットワークの獲得,販路等の拡大により,地域の生産性の向上や雇用に大きく貢献しているものの,一方では自治体間の企業誘致競争は激化しております。本市では,交通網の充実により,信頼性の高い物流ネットワークが構築され,企業活動における地理的優位性が一層高まることから,香川県と情報共有を密にしながら市域全体における民間の低未利用地においても積極的に働きかけを行い,また都市計画区域を対象とした用途見直しと連携させながら,引き続き企業誘致を推進してまいります。
 開設から2年が経過した坂出ビジネスサポートセンター(Saka-Biz)には,これまで1,600件を超える相談がございました。新年度は,副業を求める都市部の人材と本市の企業をマッチングすることにより,地域での就業(副業)につなげ,都市部の人材を活用した企業支援に取り組んでまいります。
 坂出駅から至近距離に位置する港町南,大黒通りの両商店街については,老朽化に伴う安全性や機能性の低下が著しく,今後,アーケードの撤去やLED小型街路灯などの設置に向け,両商店街と協議を進めてまいります。また,大黒通り商店街においては,県道33号線から車両の通行を終日可能となるよう再整備することにより,空き店舗の活用を促し,中心市街地の人流増加や経済循環等を図ってまいります。
 休憩施設として平成元年にオープンした白峰パークセンターについては,利用者数の減少もあり収支の改善が見込まれないため,令和4年末をもって廃止いたしました。施設の今後の利活用については,昨年実施したサウンディング型市場調査の提案等を踏まえながら,民間事業者との連携により既存の地域資源の活用を図り,五色台エリアにおける観光客の誘客に努めてまいります。
 新年度より市内の観光,歴史,史跡,街並み,特産品等を街歩きスタイルで紹介する動画を作成し,市公式YouTubeチャンネルや無料動画アプリで配信することにより,本市の魅力ある地域コンテンツを全国の視聴者に向けて情報発信してまいります。
 坂出市観光協会は,昨年4月に一般社団法人へ移行し,旅行業の登録を受けたことから,今後,本市への旅行企画や魅力的なツアー造成に取り組み,地域資源を活用した着地型観光の推進や観光客に選ばれる商品の開発・販売を進めることとしております。観光を通じた地域活性化を促すため,坂出市観光協会と連携しながら地域おこし協力隊の活用などにより新しい視点を取り入れた施策を進めてまいります。
 コロナ禍にあって,マイクロツーリズムや比較的少人数での旅の需要が増加しており,旅先における地域特有の体験意欲も高まっております。これを機に,若者が集い,行きたいと思えるような,心惹かれる夜型のイベントを坂出緩衝緑地で開催いたします。そのイベントにおいては,ランタンを制作するなど観光資源を活用した参加型体験プログラムや,訪れた方の五感に働きかけるような魅力ある空間演出を企画して,交流人口の増加をめざしたまちづくり型観光を充実させてまいります。
 先ほど申し上げましたとおり,瀬戸大橋開通35周年というこの節目を迎え,新年度,香川県と連携しながら,さかいで大橋まつりの海上花火大会の規模を例年より拡大し,15,000発を打ち上げて盛大にお祝いするなかで,本市の歴史を振り返りながら,皆さまとともに坂出の明るい未来を考えてまいります。

 以上,施政に臨む施策の大綱を申し述べました。
 これらの施策を通じて,まちの高いポテンシャルをいかしながら,行政と民間が対等なパートナーとしてお互いの強みをいかし,未来に希望をもてる「新しい坂出」を創っていかなければなりません。そのため,4月からは,公民連携・DX推進室を課へ昇格させることで民間事業者と一体となって坂出再生への取組を戦略的に進めてまいります。
 坂出駅周辺再整備基本構想をはじめ,様々な施策を有機的に連動させることにより,日常的に集い交流し,幸せを実感できるような「みんなの"ココチよさ"がかなうまち」の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
 何とぞ,皆さまのご理解とご協力,ご支援を賜りますよう心からお願い申し上げる次第であります。