令和8年3月定例会の開会にあたり、提出いたしました諸議案のご審議をお願いするに先立ちまして、新年度の施政の方針について申し述べたいと存じます。
昨年は、女性初となる高市政権の誕生を契機として、国・地方にとって重要な節目となる一年でありました。さらに、このたびの国政選挙を経て示された民意を背景に、国の政策運営の方向性がより鮮明となる新たな局面を迎えています。選挙を通じて示された方針には、強い経済の構築、地方の活力向上、少子化対策や子育て支援の充実、デジタル化の推進、国土強靱化や防災・減災対策の強化などが掲げられており、これらに基づく施策が今後一層展開されていくことが期待されます。こうした国政の動きは、地方自治体の役割を改めて問い直す契機ともなっており、国と地方がそれぞれの責任を果たしながら、将来にわたって持続可能な社会の実現につなげていくことが求められています。
一方、国際社会に目を転じますと、長期化するロシアによるウクライナ侵攻やアメリカのベネズエラに対する軍事行動等による地政学的緊張や気候変動による異常気象の頻発など複数の要因が複雑に絡み合って不確実性が一層高まり、社会全体が混沌とした状況に陥っています。
こうしたなか、国際情勢の不安定化や円安を背景とした物価高は、市民生活や地域経済に直接的な影響を与え、とりわけ食料品やエネルギー価格の上昇は、家計のみならず中小事業者等の経営を圧迫しており、住民に最も身近な行政サービスを担う市町村には、市民の暮らしと地域経済を守り、「安心して暮らし続けられるまち」への取組が求められています。本市では昨年、こうした現状のなか、学校給食における食料品価格の高騰を踏まえ、給食食材費への補助を拡充し、食材の質を維持しながら保護者負担額の据え置きを実現してまいりました。
また、物価高騰の影響下にある市民生活を支援するため、国の交付金を活用し、子育て世帯への給付を本年度中に開始するとともに、19歳以上の市民を対象とした支援についても、新年度から速やかに実施していくため、準備を進めております。
このように、社会情勢が大きく揺れ動き、市政に対する期待と責任がこれまでになく重みを増すなかで、昨年の市長選挙において、「坂出再始動、変化する街」を掲げ、市民の皆さまからの負託を受け、引き続き市政の舵取りを任せていただくこととなりました。
これは2期目として、単なる継続にとどまらず、これまで進めてきた改革と挑戦を着実に前へ進め、その成果を形として示すことを強く求められたものと、真摯に受け止めております。
これまで「坂出再生」を市政運営の根幹に据え、変化を恐れず、将来を見据えた挑戦と足元の課題解決を同時に進める姿勢を貫き、市民の皆さまとともに一つひとつ種をまいてまいりました。
その積み重ねの先に、「何か、大きなものができる?」、「何か、新しいものができる?」、「何か、素敵なものができる?」、そんなワクワクを市民の皆さまと共に育み、確かなものとしてまいります。
今後は、そうした期待感を確かな幸福感へと昇華させる段階に入ったとの強い覚悟をもって、「新しい坂出」に向けて市政運営に臨んでまいります。
「坂出再始動」の核となるのは、中心市街地の再整備とそれを通じた新たなにぎわいの創出にあります。
本市の命運をかけた最重要施策である中心市街地活性化公民連携事業は、市民の皆さまと議会のご協力をいただき、順調に進捗してまいりました。
先日には、既に駅南口バスターミナルの供用を開始しており、今後は高速バスを含む広域交通の結節点としての機能を大きく高めつつ、新年度からは、駅前拠点施設、北口駅前広場、駐車場、緩衝緑地の再整備を進め、令和10年秋には駅周辺は市民の暮らしと未来への期待をつなぐ、新たな都市空間として生まれ変わります。
また、坂出駅南口市有地においては、先月に株式会社たいよう農園と市有財産売買の本契約を締結し、今後、駅周辺の再整備と歩調を合わせ、事業者によるホテル整備が進められることとなります。ホテル誘致は、宿泊客による地域消費の拡大のみならず、駅前拠点施設との相乗効果により、坂出駅周辺の魅力と滞在機能を高め、交流人口の拡大につながるものと大きく期待しております。
坂出はようやく街開きに向けてスタート地点に立ちました。遅れた都市間競争に打ち勝つためには覚悟と情熱がいります。坂出の未来への手応えを感じられる令和10年秋の整備完了に向けて、市民ならびに議会の皆さまのご理解とご協力を得ながら全力を尽くしてまいります。
駅周辺再整備と一体となり、中心市街地の再生にも真正面から取り組んでまいります。放置された土地は将来世代にもたらす負の遺産です。放置される期間が長くなればなるほど、その後の対応が難しくなるのが空き家です。新たな制度を設け、問題の解決を図ると同時に、将来世代にこうした負担をかけないためにも、これまで、空き家の増加や土地の固定化による活力低下を決して看過することなく、空き家除却後の固定資産税減免制度や除却補助制度の拡充など先進的な取組により、土地の流動化を推し進めてまいりました。
新年度は、老朽化した空き家への対策を一層強化するとともに、創業や事業展開を後押しする各種支援策を総合的に活用し、空き家の流通や利活用等を担う様々な民間事業者との連携も深めながら、取組の裾野を広げてまいります。これにより、新たな民間投資を呼び込み、中心市街地にマンションやアパート等の需要を創出してまいります。
何もしなければ人口は減っていきます。外部からヒト・モノ・カネを呼び込み、化学反応を起こすことにより、まちの新陳代謝を進めてまいります。
昨年は、青森県東方沖、日向灘、トカラ列島近海等での強い地震の発生や、前線の影響による豪雨災害、岩手県、岡山県、愛媛県、大分県等での大規模火災などの災害が発生しました。8月に発生した熊本県における豪雨災害に対しては、被災自治体の復興を支援するため、本市から延べ4名の職員を現地に派遣し、罹災証明書の申請受付や発行業務に従事するなど、行政機能を支える人的支援を行いました。被害が広範囲にわたり、地域の生活機能、社会維持機能に支障をきたす大規模災害は、被災自治体単独で災害対応を行うことは困難であり、想定される災害の被害を最小限に抑えるためには、事前に対策を講じる事前防災の重要性を改めて認識したところであります。国では、徹底した事前防災、発災時から復旧・復興までの一貫した災害対応の司令塔となる組織として、本年11月に「防災庁」を設置することとしており、自治体においても実効性の伴う防災体制の強化が必要となっております。これら現状を踏まえ、昨年、岡山県総社市、兵庫県赤穂市、徳島県小松島市と災害時の相互応援協定を締結したところであります。協定では、被災市に応援協力し、被災市の応急対策と復旧を円滑に遂行するため、資機材などの提供や職員の派遣を行うこととしており、物資や人員の迅速な融通、避難先の確保、情報共有体制の整備など、連携を深めながら防災力の向上を図り、発災時における被災地の負担軽減と住民の安全確保につなげてまいります。
公共交通の維持が全国的な課題となるなか、本市では路線バスや循環バス、デマンド交通の再編など、従来の枠組みにとらわれない施策を進め、利便性を高めつつ、限られた財源を効果的に活用することで、市の財政負担縮減に努めてまいりました。これらの取組は全国的にも先進性を有するモデルケースとして注目され、昨年12月には交通関係優良団体大臣表彰を受賞し、本市の地域公共交通施策における特筆すべき成果となりました。
一方では、深刻化するバス乗務員不足という構造的課題に対し抜本的な解決には至っていない現状もございます。本市は将来の自動運転バスの社会実装をめざし、昨年には株式会社坂出自動車学校の協力を得て自動運転バスの実証運行を行いました。自動運転バスは人を運ぶだけではなく、幸せを運ぶものでなければなりません。自動運転バスが乗せるのは「坂出のみらい」です。多くの市民から期待の声が寄せられたこの実証は、坂出が次の時代へ踏み出した象徴であり、今後も新たな挑戦のもと、持続可能な移動環境の構築に全力で取り組んでまいります。
坂出北インターチェンジのフル化およびさぬき浜街道の4車線化は本市において大きな転機となります。これにより、番の州工業地帯への物流機能が飛躍的に向上し、四国内へのアクセスも改善されます。また、これを契機とし、産業基盤の強化を今後さらに力強く推し進めるため、既存の社会資本を活用した新規産業の誘致も視野に入れており、雇用創出と安定した税収確保につなげることで、本市の将来を支える強固な基盤を築いてまいります。
また、坂出市番の州コンビナート水素等利活用推進協議会では、脱炭素と経済成長の両立を実現するGX戦略地域への応募を行い、将来に向けて番の州地区におけるGX型新規産業への転換および進出を強力に推進することをめざし、事業者との対話と連携を主体的かつ継続的に進めてまいります。そして、県や関係機関と一体となり、産業と都市が共に成長する持続可能なまちづくりに満身の力を込めて取り組んでまいります。
人口減少社会において、若者や子育て世代をはじめ、多様な人々から「選ばれるまち」になるためには、住環境の整備と人のぬくもりが感じられる支援が不可欠であり、移住検討者の不安を解消するため専門の移住コーディネーターがワンストップで、仕事や住まい、子育てなど、移住者が希望する生活環境に寄り添った伴走型支援に取り組んでまいりました。
新年度は、Uターン、Iターン施策として、広域的な情報発信や来訪のきっかけづくりなど、人の流れを生み出す踏み込んだ事業を実施するほか、移住コーディネーターをはじめとする相談、支援体制の充実、強化を図りながら、このまちで新たな人生を始めたいと願う一人ひとりの思いに真摯に向き合い、移住後の暮らしまで見据えた支援を責任もって進めていくとともに、人と人とのつながりを大切にしながら、未来に向けて選ばれ続けるまちへと進化させてまいります。
将来世代への責任を果たすため、学校を核としたまちづくりの理念のもと、坂出市再編新校(前期)建設基本計画に基づく学校再編を着実に推進してまいります。少子化や学校施設の老朽化という課題を先送りすることなく、東部小学校、金山小学校、西庄小学校、および東部中学校の4校を再編し、小中一貫教育を行う新たな学校を整備いたします。
これは校舎の建て替えにとどまるものではなく、子どもたちが明日も通いたくなる学校を創ることを目的とした取組です。その実現に向け、設計、施工を一体的に行う設計施工一括(DB)方式を採用するとともに、本年度中に優先交渉権者を選定し、新年度の契約締結を経て、令和12年4月の開校をめざし、速やかに事業を進めてまいります。
学校が変われば、まちは変わる、この決意のもと、学びを起点に、輝かしい坂出の未来を育んでまいります。
これからの数年間は、駅周辺を中心として大きな変貌を遂げてまいりますが、まちづくりの主役は常に市民の皆さまです。本議会に議案としてご提案申し上げております、新たなまちづくりの指針となるまちづくり基本構想の改定を通じ、これからの坂出の進むべき道を明確に示してまいります。交流と誇りが育ち、未来への希望が広がるまちを市民の皆さまと共に創り上げることこそが、地域が未来に向かって歩み続けるための、ゆるぎない原動力であると考えています。様々な挑戦を重ね、その挑戦が新たな成長を生み、その成長が未来を創る、そうした好循環を生み出すことで、「新しい坂出」への歩みを確かなものとしてまいります。
引き続きご理解とご協力を賜りながら、山積する課題に正面から向き合い、確かな判断と着実な行動を重ねることで、意欲ある民間事業者の挑戦や新たな投資、人材の流入を呼び込みつつ、誰一人取り残さない、「市民が輝きつづけるまち」を実現してまいります。
以上の取組を着実に推進していくため、議員各位におかれましては、各段のご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げますとともに、市民の皆さまの引き続きのご支援をお願い申し上げます。
このような方針に基づき編成いたしました新年度予算は、一般会計で319億6,350万円、特別会計では133億853万4千円、企業会計としては、病院事業会計では88億1,426万6千円、下水道事業会計では25億6,258万8千円を計上いたしました。以下、主な事業の概要について、本議会に議案としてご提案申し上げております、新たなまちづくりの指針となる坂出市まちづくり基本構想に示す6つの基本目標に沿ってご説明いたします。
第1の目標は、「みんながつながり、共に創る坂出」
であります。
先ほども申し上げましたとおり、本議会に議案としてご提案申し上げております「第2次坂出市まちづくり基本構想」は、本市の長期的なまちづくりの方向性を示す最上位方針であります。この基本構想をより広く次世代へとつないでいくため、新年度には、専門的な表現をできるだけ分かりやすく整理し、図やイラストなどを用いて内容が一目で伝わる構成とすることで、子どもたちが本市のまちづくりの考え方や将来像に親しみをもって触れられる概要版を作成します。学校現場での活用を通じて、本市への理解と関心を深め、次世代を担う子どもたちが、まちの将来や価値について自ら考える力を育みながら、未来に向かって誇りと輝きが積み重なる姿を築いてまいります。
本市の最重要施策として進めております、坂出市中心市街地活性化公民連携事業は、市民や民間事業者の皆さまとともに未来を描き、その構想を実際のかたちへと転換する、新たなまちづくりです。これまで市民や議会の皆さまと議論を重ね、構想としてあたためてきた取組が、目に見える変化として動き始めています。
本年度は全体の実施設計を完了させる予定のもと事業を進めてまいりましたが、PFI事業の利点を生かし、既に実施設計が完了している駅周辺の道路整備については、一部、昨年11月頃より先行して工事に着手し、今月からは駅南口のバスターミナルの供用を開始したところであります。新たなバスターミナルの整備により、分散していた高松空港へのリムジンバスやデマンド型乗合タクシーの乗降所が駅南口に集約され、鉄道とバスが円滑につながる交通結節点としての機能が強化されたところであり、同時に、関西方面への高速バスの新規路線の運行が開始されるなど、整備効果が顕著に現れているところです。新年度は、坂出駅前エリアにおける慢性的な渋滞解消のため、駅北口の京町線の道路線形を変更し、まちのシンボルとなる図書館機能を核とした駅前拠点施設の整備に着手してまいります。並行して、ハナミズキ広場やタクシー乗降所がある北口駅前広場の整備に加え、駅周辺の駐車場不足の解消などに向け、立体駐車場の整備にも取りかかってまいります。
坂出緩衝緑地エリアにおいては、令和9年度中の供用開始をめざし、明るく心地よい緑への転換を図るべく、公園緑地整備に着手してまいります。計画的な間伐や剪定を行い、木陰を残しつつ、見通しの良い明るい緑地空間を創るとともに、緑地内にはコミュニティ拠点施設や屋外デッキのあるカフェを設け、市民が自由に活動を行ったり、親子でゆっくりした時間を過ごしたりできる、安全で安心な空間を創出してまいります。
行政のデジタル変革は、業務の効率化と市民の利便性向上のみならず、定型的な業務をデジタルの力で補完することにより、職員が市民一人ひとりの声に向き合い、判断や対話といった「人にしか担えない役割」に力を注げる環境を整え、市民サービスの質の向上につながるものです。新年度には、行政運営を支える通信インフラの在り方を時代に即した形へと見直します。本庁舎等の電話交換機更新にあたり、クラウド型電話交換機を導入し、固定電話を原則廃止のうえ、スマートフォン等による運用へ移行します。庁舎内外を問わず一体的な通話環境を構築し、迅速かつ的確な対応を可能とするとともに、機構改革や人事異動、レイアウト変更に伴う設定変更や工事負担を軽減し、業務の柔軟性と効率性を高めます。
加えて、庁内情報システムの更新にあわせ、出先施設と本庁舎間の接続方式を見直し、ネットワーク遅延を解消することで、安定的かつ円滑な業務運営を実現します。情報システムやネットワーク機器の調達時期をそろえることで一括発注が可能となり、コスト縮減や運用経費を抑制することで、DXの推進を通じた効率的な行政運営を進めてまいります。
本市における外国人住民の増加は一過性のものではなく、地域社会の一員として共に暮らす存在が定着しつつあることを踏まえ、これまでの「交流」を中心とした取組から「共生」へと施策の軸足を移してまいります。
新年度も引き続き地域おこし協力隊である国際交流推進マネージャーを中心に多文化共生社会の推進に取り組むとともに、関係機関と連携し、外国人住民と対話を重ね日常生活で抱える課題や障害の解決につなげてまいります。あわせて、災害時における支援体制の充実にも取り組み、文化や言葉の違いを超えて、誰もが安心して暮らせる地域づくりを進めてまいります。
ふるさと納税は、新たな自主財源の確保にとどまらず、寄附金の使途を通じて市政への関心を高め、地場産業の振興や本市の魅力発信につなげる重要な制度であり、引き続き戦略的に取り組んでまいります。
これまで、地域活性化起業人制度を活用した民間人材の知見を取り入れるとともに、魅力的な返礼品の発掘をはじめ、寄附ポータルサイトの拡充や新規・リピーター向けの広報用チラシの作成・配布により、寄附の裾野拡大と定着化を図ってまいりました。新年度においては、民間人材の登用を継続しつつ、市内事業者と連携した返礼品の開発・育成を進めるとともに、市内宿泊施設で利用できるクーポン型返礼品の拡充などにも取り組み、クラウドファンディングや企業版ふるさと納税も活用しながら、安定的な自主財源の確保と地域課題解決に資する取組を推進してまいります。
第2の目標は、「いつまでも安全で安心して暮らせる坂出」
であります。
令和6年能登半島地震から2年が経過し、全国各地で大規模災害への備えの重要性が改めて突きつけられております。安全・安心は、あらゆる市民活動の基盤であり、まちの魅力を支える大切な柱となります。本市では、「備えが命を守る」「事前防災こそ最大の減災」という考えに立ち、発災前から市民の安全・安心を支える取組を着実に進めてまいりました。
令和7年7月には香川県による地震・津波被害想定、9月には地震発生直後の物的・人的被害の推定結果が示されました。新たな想定では、沿岸部の津波浸水想定区域が拡大し、ライフラインの途絶による影響も深刻化することで、避難所へ避難する想定避難者数は約4,000人増加し、17,000人となりました。これを受け、新年度では、新たな津波浸水想定区域を分かりやすく可視化した津波ハザードマップを更新し、市民が「迷わず、あわてず、命を守る行動」が取れる環境を整備するとともに、津波避難ビルの利用に関する協定締結を進め、避難先の選択肢を広げることで、逃げ遅れを防ぐ多重の安全網を構築してまいります。
今回の被害想定で新たに示された災害関連死対策は、喫緊の課題です。特に避難所生活において、最も深刻な課題となるうちの一つがトイレ環境です。発災直後から衛生環境が急速に悪化し、感染症の流行やエコノミークラス症候群の発生リスクを高めるおそれがあることから、新年度では、携帯トイレの備蓄強化に加え、ソーラー充電システムや給排水タンクを備え、インフラが断絶した状況下でも即座に対応できるトイレカーを整備し、発災直後から清潔で安心できる衛生環境を確保するとともに、簡易ベッドやテント式パーティションなどの備蓄を進めることで、発災後の避難生活におけるプライバシーの確保や身体的負担の軽減を図ります。さらに、近年の猛暑や厳冬を考慮すると、空調設備のない空間での長期滞在は、健康被害や命に関わるリスクを伴うことから、避難所として指定している市内公立小中学校の体育館については、地域の防災拠点としての役割を踏まえ、引き続き空調設備の整備を行うことで、児童生徒の熱中症リスクの低減に資するとともに、災害時には快適で安全な避難所としての機能向上を実現してまいります。老朽化した河川護岸の整備を進め、背後地への浸水被害の防止・軽減を図るほか、水中ポンプや排水設備の更新・補修を計画的に実施し、豪雨時における内水氾濫への備えを強化することで、見えないところにこそ確かな安心をという意識を強く持ち、市民の暮らしを足元から守るインフラ整備に取り組んでまいります。
南海トラフ地震のような大規模災害では、市内全域が被災し、本市単独の防災力を超える事態も想定されることから、関係団体、事業所や他市町との戦略的な災害協定を締結することにより、災害対応力の向上を図るとともに、出前講座や防災訓練を通じて事前防災の重要性を地域と共有化し、地区防災計画や避難所運営マニュアルの作成に企画段階から伴走型で支援してまいります。
一方で、災害は多様化・激甚化しており、市民の生命・身体・財産を守る消防体制の充実が一層求められていることから、消防職員の防火衣の更新、署活系携帯型無線機の増設、消防団が使用する消防ポンプ自動車の計画的な整備、石油コンビナート災害に対応するために配備している大型高所放水車および大型化学消防車の更新に向けた基金積み立てを行うなど、資機材の整備と備えを計画的に進め、現場対応力のさらなる強化を図ってまいります。あわせて、119番通報を支える消防緊急通信指令施設の情報系システムやサーバーを高機能化し、安定した指令体制を確保することで、迅速な初動対応と救命率の向上、被害の最小化に取り組みます。
防災体制の強化は、今を生きる命を守る備えであり、環境施策は、これから生まれ育つ命を守り、未来へ責任を果たす取組であります。
将来世代に誇れる持続可能なまちを引き継ぐため、ゼロカーボンシティの実現を明確な政策目標に掲げ、脱炭素社会への転換を着実に進めております。藻場の再生については、香川大学と連携し、小与島沖に9基、番の州地区の岸壁沿いに10基の藻場造成構造物を設置するなど、計画的な取組を進めてきました。調査の結果、海藻類の着床や小型生物の生息が確認されており、新年度も実証場所の検討や効果検証を重ね、海洋環境の再生とブルーカーボンの創出につなげてまいります。昨年12月には藻場再生の取組を軸に「さかいでゼロカーボンふぇす」を開催し、多くの来場者にとって、環境を身近に感じ、理解を深める機会となりました。新年度も、企業版ふるさと納税等の活用を視野に入れつつ、体験性や発信力を意識した環境教育の展開に向けた取組を進めてまいります。加えて、番の州地区においては、再生航空燃料であるSAFに関する事業化の検討が進められている動きを踏まえ、本市としても、SAFの原料として一般的に活用される廃食用油の回収などを通じ、市民が脱炭素に直接関わる取組を促進するとともに、資源循環をテーマとした学びの機会づくりを、公民連携により進めてまいります。あわせて、水素など次世代エネルギーの導入可能性についても、引き続き、県や企業と連携しながら課題整理を進めてまいります。
再生エネルギーの導入促進は、ゼロカーボンシティの実現に向けて欠かすことのできない取組でありますが、周辺環境への十分な配慮を欠いたメガソーラーの設置は土砂災害の発生リスクを高めるとともに、地域が育んできた自然環境を損なう恐れがあります。新年度には、再生可能エネルギーの推進と地域環境の保全を両立させる観点から、メガソーラー設置に関する条例の制定に向けた具体的な準備を進め、秩序ある土地利用の確保を通じて、責任あるゼロカーボンシティを実現してまいります。
第3の目標は、「健やかで心豊かに暮らせる坂出」
であります。
少子化が進行する中にあってもまちの未来を確かに引き継いでいくため、子育て支援と健康づくりを一体的に進め、誰もが安心して自分らしく暮らせるまちの実現をめざします。
子どもたちが日々の学校生活を通じて、地域に支えられていることを実感し、ふるさと坂出を誇りに思う心を育むこと、そして子育て世代の経済的負担を軽減するため、県内他市町に先駆け、令和4年度から小学校給食費の無償化に取り組んでまいりました。
現在、国において小学校給食費の負担を軽減するため、新たな交付金が創設されることとなりましたが、本市は子育て支援をさらに加速させるため、新年度からは、中学校給食費についても無償化するとともに、昨今の物価高騰に対し給食食材費に対する補助金をさらに増額し、義務教育期間全体を見据えた支援を一貫して行うことで、将来を担う子どもたちの健康と保護者の経済的負担軽減の両面から支援を進めてまいります。
これまで積み重ねてきた子育て支援の取組を土台に、妊娠前から出産、産後、そして子育て期へと続く切れ目のない支援を実施し、安心して子どもを産み育てられる環境を整えてまいります。
妊娠前からの健康づくりであるプレコンセプションケアについては、市ホームページでの情報発信や、はたちのつどい、婚姻届出時の案内を通じて理解を深め、希望者には保健師による個別相談を行うことで、望むタイミングで安心して妊娠・出産を迎えられる体制を整え、母子の健康リスクの低減につなげてまいります。出産後においては、心身の不調や育児への不安を一人で抱え込むことなく、専門職による支援を必要な時に受けられる産後ケア事業の支援内容を拡充し、費用負担なく短期入所型、通所型、居宅訪問型のすべての利用を可能といたします。妊婦へのRSウイルスワクチン接種については、国の定期接種化を踏まえた円滑な実施体制を整備し、新生児・乳児の重症化を防ぐことで、新生児を社会全体で支える取組を進めてまいります。子育て期においては、保護者の就労状況等にかかわらず、保育所等に通っていない生後6か月から3歳未満の子どもが利用できる「こども誰でも通園制度」を段階的に導入し、多様なライフスタイルに寄り添った子育て支援を着実に推進してまいります。
人生100年時代を見据え、誰もが健やかに暮らし、健康寿命の延伸を実感できるまちづくりは、本市にとって重要な課題です。新年度は、若い世代への骨密度測定を起点とした「ミライボネ検診」や、骨密度・野菜摂取量の測定による健康状態の見える化を拡充し、学校や職域など幅広い場で健康への気づきを促します。あわせて、第9期介護保険事業計画の最終年度として進捗と課題を検証し、日常生活圏域ニーズ調査等を踏まえ、第10期介護保険事業計画の策定を進めます。長期的視点に立ちながら、地域ケアマネジメントを通じて、本市らしい地域包括ケアシステムの深化を図ってまいります。
市民一人ひとりが抱える不安や課題に早期に気づき、切れ目なく支援につなげていくことは、持続可能な地域社会を築くうえで極めて重要です。
重層的支援体制整備事業として、福祉・子育て・生活困窮など分野を問わず住民のさまざまな困りごとを一体的に受け止め、関係機関が連携して対応する仕組みづくりを進めております。新年度においても本事業を引き続き推進し、配慮やサポートを必要としながら声が届きにくい方に対しても、職員や関係機関が地域へ出向き、継続的に関わりながら支援をつなぐことで、市全体で支え合う包括的な体制を整え、暮らしに寄り添った取組を展開してまいります。こうした体制をさらに強化するため、新年度から基幹相談支援センターを設置し、障害福祉分野における専門性を中核的に担保するとともに、地域の相談支援機関との連携や人材育成を図り、地域共生社会の実現に向けた取組を着実に進めてまいります。
市立病院の入院患者数は堅調に推移し、急性期医療を担う地域の中核病院としての役割は、年々その重要性を増しており、市立病院は、地域を支える基幹病院として、その責務を的確に果たしてまいりました。
新年度においては、耐用年数を迎えた医療機器を、より性能の高い最新機器へ計画的に更新し、老朽化に伴う故障リスクや保守費用の増大を抑制するとともに、診療の質、安全性および効率性の向上を図ります。今後も、消防や近隣医療機関との連携を一層強化し、市民の命と暮らしを支える地域医療の中核として、救急・急性期医療体制のさらなる充実を図り、信頼され続ける病院となるよう取り組んでまいります。
第4の目標は、「誰もが学び創造する、活躍できる坂出」
であります。
先ほど申し上げました学校再編整備をはじめとして、子どもから大人まで一人ひとりが学びを通じて成長し、その力を地域社会へ還元する循環が生まれるよう、人づくりが地域に生きる仕組みを整えてまいります。
次代を担う子どもたちが夢と希望をもって健やかに成長し、将来にわたって豊かに生きる力を育むため、変化する社会に対応した質の高い教育の基盤づくりを進めます。特に、学校の部活動は、技能の向上にとどまらず、仲間と協力する力や責任感、学年を超えた交流を通じた人間形成を支える大切な教育活動です。
こうした教育的意義を継承しつつ、地域のスポーツ団体や文化芸術分野の人材・資源を活用し、休日の部活動を段階的に「新たな地域クラブ活動」へ地域展開してまいります。学校と地域が連携し、生徒が専門的な指導を受けられる体制を整えるとともに、教職員の働き方改革を推進するため、令和8年度から令和13年度の期間を見据え、可能な限り早期に、すべての部活動を地域クラブ活動へ移行することをめざし、ガイドラインの改訂を行い、誰もが参加しやすく、将来にわたり安定的に続けられる「新たな地域クラブ活動」のあり方を検討してまいります。
日々の給食は生きた教材であり、子どもたちの健康増進のみならず、環境への理解を高め、食を通した社会性のかん養に寄与するものであります。昨年12月には、有機農業の日に合わせ、化学肥料を使用せず市内で生産された金時にんじんを学校給食に提供し、地域の食文化や環境への配慮について考える契機としました。新年度においても、自然環境に配慮した農業による野菜を学校給食に取り入れる取組を継続するとともに、地域で生産された食材を地域で消費する地産地消の意義について、食体験を通じた学びの素地を培ってまいります。「坂出の食」を通して、子どもたちの食への感謝と安心感を深めるとともに、郷土愛や環境意識の醸成につなげてまいります。
子どもたちが絵本と出会い、言葉や物語を通じて心と知性を育むことにより、将来にわたる学びや人間形成の基礎となるよう取組を進めてまいります。
令和6年度から「絵本のまちさかいで推進事業」を展開し、ブックスタート事業やセカンドブック事業を通じて、絵本を介した親子の心温まるふれあいを大切にしてきました。これらの取組は、子どもの想像力や集中力、他者への共感力や社会性を育むとともに、親子の絆を深めるなど、心と知性の成長に多面的に寄与しています。新年度からは、こうした流れをさらに広げるため、5歳児を対象に新たに絵本を贈呈するサードブック事業「ほんとこプロジェクト」を実施し、成長段階に応じた継続的な読書に親しむ機会を提供してまいります。あわせて情報発信の充実にも取り組み、絵本を通じた豊かな子育て文化の醸成と地域全体への浸透を図ってまいります。
豊かな感性や創造力を育むとともに、地域への理解と誇りを深めるため、子どもたちが文化・芸術に触れ、感性を育む機会を創出してまいります。
地域の自然・歴史・文化といった教育資源を生かし、小中学校において、ふるさと理解推進事業を進めており、久米通賢や崇徳上皇など本市にゆかりのある歴史的偉人に関する学び、サヌカイトを用いた創作活動、瀬戸大橋での体験学習など、多彩な取組を通じて、郷土への誇りと愛着を深め、次代の坂出を担う人材の育成に努めてまいりました。さらに、保育所やこども園等に芸術士を派遣し、表現の過程を大切にした活動を行うことで、子どもたちの個性や創造性を育むとともに、公園などでのワークショップを通じ、親子同士で親しめる場を創出してきたところです。新年度も、これまでの取組を継承・発展させ、地域資源を生かした文化・芸術体験を通じて、子どもたちの自由な表現力や創造性を引き出してまいります。
スポーツの振興を進めるうえで、誰もが利用しやすいスポーツ施設の整備は不可欠です。府中湖カヌー競技場は、全国大会等にも利用される本市を代表するスポーツの拠点として、競技の普及や競技力向上を支えてきました。一方で、第1桟橋へのアクセス用スロープは傾斜が急となっており、車いす利用者などにとって、円滑な通行に支障が生じ、安全面において不安を伴う状況にあることから、適切な勾配となるスロープ整備を進めてまいります。
すべての人が互いの人権を尊重し、性別や立場にかかわらず、だれもが自分らしく活躍できる社会の実現は、市政を進めるうえで基本となる視点です。本市ではこれまでも、人権尊重と男女共同参画を柱とした取組を継続して進めてきました。新年度においても、審議会などの場における女性の積極的な登用を一層進めるとともに、インターネット上の誹謗中傷等に関する法律相談を継続し、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向け、関係機関と連携し、取組を着実に進めてまいります。
第5の目標は、「快適で心地よく、暮らしやすい坂出」
であります。
喫緊の課題である空き家対策は、公民連携によるまちづくりを前に進めるための起点となり、まちの安全性と価値を将来にわたり守り育てる根幹であることから除却と利活用の双方から取り組んでまいります。空き家は、管理が行き届かなければ防災・防犯、衛生や景観等の面で地域に深刻な影響を及ぼし、まちの価値を低下させる要因となります。特に、能登半島地震では旧耐震基準で建築された住宅の倒壊が多く確認されており、将来、南海トラフ地震が発生した場合には、本市においても同様の被害拡大が懸念されます。こうした状況を踏まえ、新年度においては、これまで実施してきた老朽危険空き家除却支援事業補助金を拡充するとともに、旧耐震基準で建築された空き家を対象とした旧耐震空き家除却促進事業補助金を引き続き実施し、土地の流動化を促しながら空き家対策と減災対策を一体的に進め、危険な空き家の除却を一層強力に推進してまいります。一方で利用可能な空き家につきましては、新たな価値を生み出す資源であり、市場に流通させ活用する必要があります。新年度においては、空き家バンクへの登録を引き続き促進するとともに、坂出市移住促進・空き家改修補助金により、本市への移住を含め新たな暮らしを始める方を支えつつ、空き家の流通や利活用に専門的な知見を有する事業者との連携を一層深化させ、マッチングや再生、事業化までを見据えた取組を推進してまいります。さらに、創業支援補助金を積極的に活用し、空き家を改修して新たな事業に挑戦する起業家などを後押しすることで、まちなかに新たなにぎわいを創出してまいります。
空き家の除却によって安全確保と土地の流動性を向上させ、利活用によって価値を高める。この両輪を回すことで、空き家対策をまちづくりの力へと反転させ、まちの価値を着実に高めてまいります。
市民のふれあいやレクリエーション活動の場の拠点としての役割を担う公園は、市民の皆さまにとってより身近で快適な場所となるよう、緑豊かな公園を軸に新たなまちづくりを進めるなかで、それぞれの公園に求められている役割や利用実態に応じた整備を進めてまいります。具体的には、多様な世代が日常的に集い、交流し、心地よさを実感できる場となるよう、トイレの洋式化や遊具の更新、トイレ棟の修繕などを計画的に進めることで、公園の魅力と利便性の向上につなげてまいります。
市道福江線等雨水管整備については、新年度で工事完了をめざし、市街地における道路冠水解消や浸水防除に努めるとともに、街路整備や下水道施設を計画的に進めていくことにより、市民の安全と安心を支える都市基盤の機能を強化してまいります。
全国的にバスの乗務員不足が深刻化する中、地域の公共交通は市民生活を支える不可欠な社会基盤と位置付け、その維持・活性化に継続して取り組んできました。本市独自の施策として進めてきた、キャッシュレス決済による利便性向上と負担軽減を図る「TicketQR」を活用した市民割引をはじめ、高齢者の移動支援としての免許返納者向けプリペイドチケットの交付や次代を担う若者の活動を支える中高生サマーパスなどは、利用者の利便性向上に大きく寄与し、デジタル技術を活用した先進事例として国のホームページに掲載されるなど全国的に高い評価を得ています。
新年度においても、これらの施策を着実に継続・発展させるとともに、市民の皆さまへの認知度向上と利用促進を一層進め、潜在的な移動需要を確実に公共交通の利用につなげてまいります。あわせて、将来にわたる公共交通の持続可能性を確保するため、行政と交通事業者、関係民間企業がしっかりと手を携え、担い手不足という構造的課題に正面から向き合いながら、レベル4自動運転バスの実現を共通の目標として掲げ、実証と検証を重ねつつ、安全性を最優先に社会実装に向けた取組を力強く推進してまいります。
港湾事業については、坂出ニューポートプランの具現化に向け、引き続き港湾計画の改訂作業に取り組んでまいります。新年度においては、坂出北インターチェンジのフルインター化やさぬき浜街道の4車線化後の道路状況や土地需要の変化等を把握するため、交通量調査や土地利用の検討を進めてまいります。海岸保全施設については、西・東運河地区における護岸整備を着実に進め、地震・津波による被害の軽減防止に努めてまいります。
これまで、「書かない、待たない」窓口サービスの実現をめざし、公式ホームページのトップページを刷新し、操作性の向上や行政手続への導線整理を行い、行政の「オンライン窓口」としての機能強化に取り組んでまいりました。新年度は、引き続き地域活性化起業人が有する専門的な知見やノウハウを生かし、電子申請からオンライン決済までを一貫して行える便利な行政窓口をさらに拡大することにより、「行かない」窓口の実現に向けた取組を加速させてまいります。こうした取組を通じて、市民の皆さまがその利便性を実感できる窓口改革を進め、行政サービスの質の向上につなげてまいります。
第6の目標は、「にぎわいと活力にあふれる坂出」
であります。
「働くまち」としての地域資源を最大限に生かし、産業振興を軸に移住・定住や観光を促進し、就業環境の充実と起業・事業承継しやすい環境づくりを通じて、にぎわいと活力あるまちづくりを進めてまいります。
昨年開催された瀬戸内国際芸術祭では、本市は沙弥島、瀬居島、王越地区を会場とする瀬戸大橋エリアの運営を担い、地域住民が主体となった取組を含め、多くの交流と地域への誇りが生まれるなど、まちづくりにいかされる大きな成果を得たところです。あわせて、昨年開催された大阪・関西万博では、香川県と県内各市町の連携事業として共同で催事を開催し、歴史や文化、産業、人の温かさなど、本市の魅力を国内外の幅広い層に届けてまいりました。
こうした交流とにぎわいの創出を、持続的なまちの魅力へと高めていくため、本市最大のイベントである「さかいで大橋まつり」についても、抜本的な見直しを行います。近年の記録的な猛暑は、参加者や観客の皆さまの健康と安全を脅かすレベルに達しております。また、現在進めております駅周辺再整備の影響を考慮し、令和9年度からは開催時期を5月の第2週へ、開催場所を官庁通りへと変更することとしました。新緑の季節、新たなメインストリートで、より多くの市民が安心して楽しめる次世代のまつりへと装いを一新させてまいります。なお、瀬戸の夜空を彩る海上花火大会は今後も祝日である8月11日の開催を継続することとしており、新年度は、打ち上げ発数を4,000発から5,000発へ増発するなど規模の拡大を図ります。あわせて、令和9年度からの装いを一新した開催に向けた機運醸成を図るプレイベントとして、にぎわい創出に資する場を活用した参加型の催しを開催するなど、新たなまつりへの期待感と市民参加の機運を高めてまいります。
企業誘致や中小企業・小規模事業者への支援は、雇用創出と地域産業の活性化を通じて、まちの発展と地域経済の持続的成長を支える取組であります。坂出北インターチェンジのフルインター化や、さぬき浜街道の4車線化といった交通インフラの整備により、物流環境の信頼性と企業活動における地理的優位性は一層高まっています。新年度には、この強みを最大限に生かすため、県と連携した情報発信や市域全体の低未利用地への働きかけを通じて企業誘致を進めるとともに、府中湖スマートインターチェンジなどを活用した産業の活性化と新たな雇用の創出につなげてまいります。さらに、ビジネスサポートセンターSaka Bizの運営手法を見直し、地域に根差した新たな支援モデルとして再始動させ、事業者の挑戦を継続的に支えるとともに、より迅速かつきめ細かなサポートを実現してまいります。地域に新たな活力を生み出す創業支援補助金は、女性ならではの視点や感性を生かしたビジネスの創出をサポートするため、女性起業家に焦点を当てた支援や伴走型支援を通じて、創業から定着までを切れ目なく支えることで、本市で新たな挑戦をする方を力強く後押ししてまいります。
市内企業の魅力や強みを分かりやすく発信し、人材確保に向けた取組として、市内企業版ガイドブックを制作しており、引き続き、内容や構成に工夫を加え、企業の認知度向上と雇用創出につながるよう継続して取り組んでまいります。経験豊富な高齢者を対象としたシニア就職説明会を開催し、求職者と企業とのマッチングを図るとともに、先月には子育て世代を対象とした「ママ・パパのためのおしごとフェスタ」を実施し、仕事と子育ての両立を支える取組を進めました。新年度においても、テーマを絞った就労イベントを通じて雇用創出につなげていくとともに、香川大学と連携した企業訪問型の取組や、大阪の大学生を対象とした地元企業訪問など、取組の幅を広げながら、就業機会の創出と地域定着の促進を図ってまいります。
農林水産業は、地域の暮らしや食を支える基盤であり、将来にわたって地域を維持していくうえで欠かすことのできない産業です。一方で、いずれの分野においても、担い手の高齢化や後継者不足といった共通の課題に直面しており、持続可能な産業構造の確立が強く求められています。
地域を支える重要な産業を次世代へつないでいくため、農業については、新たな人材の確保・育成をはじめ、就農初期から経営発展段階まで、それぞれの段階に応じた支援を着実に進め、将来にわたり農地が守られ、地域農業が安定的に継続していく環境づくりを推進してまいります。また、水産業においては、担い手不足に加え、海域環境の変化などによる水産資源の減少が懸念されていることから、資源管理型漁業の推進や資源回復に資する取組を進めるとともに、漁業関連施設の計画的な整備を図り、関係団体と連携しながら、持続可能な水産業の確立と漁業環境の向上に取り組んでまいります。
移住・定住の促進は、人口減少対策にとどまらず、地域に新たな担い手や活力を呼び込み、ひいてはまちの持続的な発展につながる施策です。本市ではこれまで、地域おこし協力隊の移住コーディネーターを中心に、移住ポータルサイトおよび情報誌「VECTOR」の制作、東京・大阪での移住フェアへの参加、個別相談の対応など、多面的な取組を通じて本市の魅力発信と移住支援を進めてきました。新年度は、地域活性化の強力な推進役として期待される地域おこし協力隊を増員し、空き家の利活用や離島振興の分野に重点的に投入してまいります。あわせて、民間事業者との連携により、帰省促進によるUターン創出や機内メディアを活用した新たなプロモーションを展開するとともに、農業を切り口とした就労・定住支援にも取り組み、移住後の定着までを見据えた施策を総合的に推進してまいります。
以上、市政に臨む施策の大綱を申し述べました。
今まさに本市は、人口減少の避けては通れない課題に直面し、まちの将来を左右する大きな転換点、歴史的局面に立っております。昭和63年の瀬戸大橋開通は、市民に大きな夢と希望をもたらしましたが、その後、本市の人口は長期にわたり減少し、かつてのにぎわいは次第に失われ、まちには停滞感が漂い、この流れを放置すれば、地域の活力や都市機能そのものが先細りしかねないという強い危機感を、改めて強く抱いております。この厳しい現実に真正面から向き合い、未来を切り拓くための挑戦が「坂出再生」の取組であります。
駅周辺を起点としたまちづくりは、単なる施設整備ではなく、まちの心臓部に再び力強い鼓動を取り戻し、民間の投資や挑戦を呼び込み、その活力をまち全体へと広げていく未来への投資であります。挑戦が成長を生み、成長が未来を創る、挑戦の先に見える変化とは、まちの景観が変われば人の流れが変わり、人の流れが変わればまちの空気が変わることにあります。
そして、その空気の中で育つ子どもたちの未来もまた、確かに変わっていきます。こうした取組を通じてまちの価値を高め、将来にわたって選ばれ続ける都市へと歩みを進めることこそが、「新しい坂出」を形づくる道筋であると確信しております。この歴史的局面に対し、強い覚悟と揺るぎない信念を胸に、公民連携を軸として、市民の皆さまとともに、希望をもってまちづくりを前へ進めてまいります。
何とぞ、皆さま方のご理解とご協力、ご支援を賜りますよう心からお願い申し上げ、令和8年度の施政方針といたします。