坂出港の概要・各地区の姿
坂出港の概況
坂出港は,香川県のほぼ中央に位置し,江戸時代より塩の積出港として栄えました。
昭和初期には岸壁も整備され近代的な商港として繁栄し,昭和26年に重要港湾に指定されました。その後,番の州埋め立てに伴う大規模臨海工場の誘致,塩田跡地を活用した港湾開発などにより,香川県の工業と坂出市の発展に大きく貢献し,現在,四国北東部における流通拠点として重要な役割を果たしています。
平成20年における港湾取扱貨物量は,外貿1,376万トン,内貿1,253万トン,計2,629万トンに達しています。四国の港湾における取り扱い貨物量の約4分の1を取り扱っています。
坂出港の取扱貨物量についてはこちらをご覧下さい。
坂出港の自然状況
地勢
本港を含む坂出市は,香川県のほぼ中央に位置し,数個の離島を包含して備讃瀬戸を望み,東西約3.5キロメートルの海岸幅を有している。東は五色台,西は聖通寺山,南は城山に囲まれている。また主要河川である綾川,青海川が坂出港に流入している。
地質
坂出港背後の起伏山地は讃岐岩類,花崗閃緑岩などの熔岩質であり,その間を流れる綾川の扇状地として形成された平坦地は沖積層で占められ,砂と粘土質の地質である。
坂出港内の地質は,地表面下10メートル程度までは砂,シルト,粘土の混合層となっており,N値も10~20程度であるが,表層部から10~20メートルの層では砂,砂礫あるいは固結粘土の互層でN値も40~50に達している。
気候
(1)概況
本地域は,過去5年間の観測では,年間を通じて気温格差が少なく,平均16.8度で日照時間が多い。また,降雨量も年間971ミリと少なく,典型的な瀬戸内海の多照寡雨型気候である。
(2)風・波浪
風については,年間を通じて穏やかな日が多く,過去5年間の観測では,風速5.0メートル/秒以上の出現率は0%である。坂出港の常時波浪は,北東~西北西方向の風により発生し,本港開口部における波浪を推算すると,波高0.3~0.5メートルの波は年間を通じて1%未満と極めて少ない。また,異常時の推算結果では,0.5メートル以上の波浪が出現するのは北北西方向のみで,それぞれ最大波高が0.64~0.51メートル程度であり,強風時においても穏やかな港内である。
地区毎の概況

番の州地区
番の州地区は,昭和40年から約10年の歳月をかけて埋め立てられた地区であり,日本を代表する大企業が立地しています。そのため,専用桟橋が多く,ドルフィン(-16メートル)をはじめ多くの大型バースが整備されています。
番の州地区での主な取扱貨物は,原油,石油製品,石炭,コークス等であり,当地区において,坂出港全体取扱貨物量の約9割を扱っています。
西埠頭地区
坂出港発祥の地である沖湛甫(おきたんぽ)の前面を埋め立て整備された地区です。
昭和5年には,1万トン級の貨物船が接岸できる西岸壁を築造し,坂出港は近代港湾の先駆けとなりました。昭和21年の南海地震で西岸壁は崩壊しましたが,戦後の混乱期にもかかわらず4年後の昭和25年には,復旧し現在の西岸壁(-7メートル)が完成しました。
当岸壁は,施設の老朽化対策,荷役作業の効率化また大規模災害対策としての耐震岸壁の必要性から,平成20年度より改修事業(-7.5メートル2バース内1バースは耐震岸壁)に着手しています。
西埠頭地区での主な取扱貨物は,金属くず,麦,合成樹脂等です。
中央ふ頭地区
中央ふ頭地区は,水深-10メートル,-8メートル,-6メートル,-4.5メートルの公共岸壁を有しており,背後には倉庫,サイロが立地しています。昭和12年から中央突堤の建設工事を県営事業として着手しましたが,第2次世界大戦のため工事中断し,昭和37年12月にようやく完成しました。
港湾関連の官公庁である坂出税関支署,坂出海上保安署,神戸植物防疫所,広島検疫所,高松港湾・空港整備事務所,坂出市港務所が立地しています。また,港湾関係団体では,坂出港運協会,香川県植物検疫協会,日本貨物検数協会,日本海事協会が立地しており,港湾としての中枢機能を有しています。
主な取扱貨物は,麦,飼料等です。飼料(牛,豚,鶏のえさ)は,四国の移入量の約80%を取り扱っており,坂出港が四国の飼料の供給拠点となっています。
東運河地区
東運河地区は,廃止塩田を運河に沿った掘り込みにより,公共岸壁(-4.5メートル)9バースを整備した埠頭です。
主な取扱貨物は鋼材で,製鉄所で製造された鋼材を移入し,瀬戸内圏の造船所だけでなく,全国への中継・加工基地としての役割を担っています。
林田地区・阿河浜地区
林田地区,阿河浜地区は,坂出港の公共岸壁で最大の水深-12メートル岸壁をはじめ,-7.5メートル,-5.5メートル,-4.5メートルの公共岸壁を有しています。背後地には麦のサイロ,自動車のモータープール等が立地しています。またLPG輸入基地が立地しており専用岸壁ではLPGが輸入されています。
主な取扱貨物は,麦,完成自動車,セメント,LPG等です。
坂出港での麦の輸入量は四国のほぼ100%,完成自動車の移入量は四国の約70%を占めており,四国の経済においても重要な役割を担っています。
松ヶ浦地区
昭和44年に港湾区域の変更により,坂出港に含まれた地区です。
坂出港の沿岸部はかつては入浜式塩田が広がっていましたが,塩業整備により昭和47年にはすべての塩田が廃止され,近代的な製塩が行われるようになりました。昭和46年には全国で7つのイオン交換膜法による企業が選定され,昭和49年に讃岐塩業(株)(現「(株)日本海水」)が当地区で操業を開始しました。
公有水面の埋立により整備した-5メートルの公共岸壁から,塩の移出が行われています。クレーン会社も立地し,公共岸壁から大型クレーンの移出も行われています。