令和2年度開法寺跡発掘調査現地説明会
開法寺跡発掘調査 現地説明会
令和3年2月7日(日曜日)に開法寺跡発掘調査の現地説明会を行いました。
今年は、晴天に恵まれ気温も16度近くになり、3月下旬並みの温かい1日となりました。加えて、第2回讃岐国府まつりが開催され、説明会の時間帯以外にも、来場者は絶えることなく延べ440名の方に訪れていただきました。
令和2年度の発掘調査で明らかになってきたもの
令和2年度の調査では、中央(大型)建物の東側を発掘調査し、回廊の礎石・抜取穴、軒(先)瓦、瓦だまり、石敷状遺構などが出土しました。
1.中央建物の北東部に、新たに確認した礎石の抜取穴により、中央建物が四面に廂を持つ、最も格式高いとされる大型建物であったことが分かりました。
2.中央建物の東側のエリアでは、これまでに知られていた礎石と対になる新たな礎石を確認し、抜取穴の検出状況と盛土の断面観察から、中央建物に回廊が取り付いている様子が確認されました。この回廊は、これまでに確認されていた南にある礎石と軸が揃っており、南北に伸びた回廊が90 度曲がって中央建物に繋がると推定されます。
3.中央建物の東縁辺部では、非常に多くの瓦がみつかりました。検出の状況から、建物が倒壊した姿ではなく、後の時代の土地利用の際に動かされたものと推定されます。出土した瓦の中には軒丸瓦(軒先に配置される瓦)が多く確認されており、残存状況も極めて良好なものが多くありました。
現場説明会当日配布資料
令和2年度開法寺跡発掘調査現地説明会資料1 [PDF/2.73MB]
令和2年度開法寺跡発掘調査現地説明会資料2 [PDF/3.88MB]
開法寺とは
開法寺は白鳳時代から平安時代にかけて坂出市府中町に存在していた古代寺院です。
坂出市府中町に古いお寺があったという認識は地元では古くからあり、昭和45 年の発掘調査で、塔の柱を支えた礎石が発見されたことで存在が実証され、「開法寺塔跡」が香川県の史跡として指定されました。
塔跡が発見された後も数次の調査により、大型建物の遺構や瓦などが発見されており、その出土瓦等から7 世紀後半~ 8 世紀初頭に創建され平安時代末ごろまで機能していたと考えられ、香川県内寺院でも最古クラスの古代寺院であったと考えられています。
讃岐国府の国司として赴任した菅原道真が著した漢詩集『菅家文草』には、「開法寺は府衙の西に在り」と脚注に記されており、讃岐国府の一角に位置することからも、国府における宗教機能を担った重要な施設であったと考えられます。