ぶんぶんレポ「小与島の中心でササユリを数える」をレポート!
突然ですが、「文化財」というと、どのようなものを思い浮かべるでしょうか?
「昔の建物」「貴重な美術品」「古代の遺跡」「伝統あるお祭り」・・・
これらはもちろん文化財なのですが、実はみなさんもよく知る「天然記念物」も、文化財保護法に定義された立派な「文化財」なのです。動物や植物が文化財なんて、すこし意外な気もしますよね。
それはともかく、今日のぶんぶんレポは、その天然記念物のお話です。
「小与島のササユリ」を数える
「小与島のササユリ」は、坂出市にある唯一の香川県指定天然記念物です。
ササユリは学名を「Lilium japonicum」(日本のユリ)という、日本固有種のユリです。また名前のとおり、その葉っぱはササにとてもよく似ています。ただ、このユリ自体はそこまで珍しいものではなく、花や球根が販売されていたりします。
ではこれがなぜ天然記念物なのかというと、香川県で郡生しているのは、この小与島のだけなのです!
そこで文化振興課では、毎年ササユリの花が開くこの時期に、その生育状況を調べるべく、現地でその本数を数えるという調査を行っているのです。
とはいえ、定期船もない離島である小与島、そこへ行くためには港務所にある沿岸環境監視船「しらみね」を利用させてもらいます。
坂出港を出発、番の州の工業地帯を過ぎて、備讃瀬戸航路を横断します。
三つ子島や与島の鍋島灯台を横に見ながら・・・
15分ほどで小与島に到着です。
小与島に上陸した後は、ササユリの生えている場所まで徒歩で移動。
小与島は全島で採石が行われていたこともあり、その独特の風景に圧倒されます。
一部だけ切り取ってみると、本当に別世界みたいです。
寄り道が長くなりましたが、この上がササユリの生えている場所です。
麓には石碑も建てられています。(詳しい場所は内緒。)
ここ!と言っても道もないので、草を分け入って山を登っていきます。
そしてやっと、ササユリとご対面!なのですが・・・
まだつぼみ・・・。残念ですが、今年はまだ花が咲き誇るには早かったようです。
しかし、今回小与島に来たのは、その個体数を調べることが目的です。気を取り直して探します。
数えるのは上の写真のような花がついたものはもちろん、花がついていないものや、やっと地面から顔を出した一枚だけの葉っぱも対象になります。
現場ではササユリの他に、ササもたくさん生えているため、間違えずに、そしてうっかり踏んでしまわないよう、気を付けて探します。神経を使う作業が続きます。
結果として、今年は57本の株が確認できました。昨年は65本(平成4年以来、過去最高!)だったので、それよりは減ってしまいましたが、まずまずの数です。ここ数年は、割と安定した状況になっています。成長途中のものが多く発見できたのも、今後についての安心材料でした。
ちなみにササユリはとても成長の遅い花で、種が落ち、葉っぱが生えるまで2年、そこから花が咲くまでにさらに3年から5年かかるといいます。このため一度壊滅的な打撃を受けて数が減ってしまうと、回復までに長期を要することになります。
この状態を維持し、さらには本数を増やすべく(といっても、あくまで「自生」に価値があるので、あまり派手なことはできませんが)、今後も調査を続けていきます。
みなさんももし小与島に行くことがあったら、この天然記念物のことも思い出してください。
でも、もちろん分かっていると思いますが、取ったりしちゃダメですよ。