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ぶんぶんレポ「小与島の中心でササユリを数える」をレポート!

印刷用ページを表示する更新日:2015年12月2日更新

突然ですが、「文化財」というと、どのようなものを思い浮かべるでしょうか?

 

「昔の建物」「貴重な美術品」「古代の遺跡」「伝統あるお祭り」・・・

 

これらはもちろん文化財なのですが、実はみなさんもよく知る「天然記念物」も、文化財保護法に定義された立派な「文化財」なのです。動物や植物が文化財なんて、すこし意外な気もしますよね。

それはともかく、今日のぶんぶんレポは、その天然記念物のお話です。

 

「小与島のササユリ」を数える

 

 「小与島のササユリ」は、坂出市にある唯一の香川県指定天然記念物です。

ササユリ

 ササユリは学名を「Lilium japonicum」(日本のユリ)という、日本固有種のユリです。また名前のとおり、その葉っぱはササにとてもよく似ています。ただ、このユリ自体はそこまで珍しいものではなく、花や球根が販売されていたりします。

 ではこれがなぜ天然記念物なのかというと、香川県で郡生しているのは、この小与島のだけなのです!

 

 そこで文化振興課では、毎年ササユリの花が開くこの時期に、その生育状況を調べるべく、現地でその本数を数えるという調査を行っているのです。

 

 とはいえ、定期船もない離島である小与島、そこへ行くためには港務所にある沿岸環境監視船「しらみね」を利用させてもらいます。

 

しらみね

 

 

坂出港を出発、番の州の工業地帯を過ぎて、備讃瀬戸航路を横断します。 

 

三つ子島や与島の鍋島灯台を横に見ながら・・・

三つ子島鍋島灯台

 15分ほどで小与島に到着です。

小与島

 小与島に上陸した後は、ササユリの生えている場所まで徒歩で移動。

 小与島は全島で採石が行われていたこともあり、その独特の風景に圧倒されます。

小与島の風景1

小与島の風景2

小与島の風景3

 一部だけ切り取ってみると、本当に別世界みたいです。

 寄り道が長くなりましたが、この上がササユリの生えている場所です。

  麓には石碑も建てられています。(詳しい場所は内緒。)

 

ササユリ自生地

 ここ!と言っても道もないので、草を分け入って山を登っていきます。

 そしてやっと、ササユリとご対面!なのですが・・・

ササユリの蕾

 まだつぼみ・・・。残念ですが、今年はまだ花が咲き誇るには早かったようです。

 しかし、今回小与島に来たのは、その個体数を調べることが目的です。気を取り直して探します。

 数えるのは上の写真のような花がついたものはもちろん、花がついていないものや、やっと地面から顔を出した一枚だけの葉っぱも対象になります。

ササユリ成葉ササユリ幼葉

 現場ではササユリの他に、ササもたくさん生えているため、間違えずに、そしてうっかり踏んでしまわないよう、気を付けて探します。神経を使う作業が続きます。

 結果として、今年は57本の株が確認できました。昨年は65本(平成4年以来、過去最高!)だったので、それよりは減ってしまいましたが、まずまずの数です。ここ数年は、割と安定した状況になっています。成長途中のものが多く発見できたのも、今後についての安心材料でした。

 

 ちなみにササユリはとても成長の遅い花で、種が落ち、葉っぱが生えるまで2年、そこから花が咲くまでにさらに3年から5年かかるといいます。このため一度壊滅的な打撃を受けて数が減ってしまうと、回復までに長期を要することになります。

 この状態を維持し、さらには本数を増やすべく(といっても、あくまで「自生」に価値があるので、あまり派手なことはできませんが)、今後も調査を続けていきます。

 

 みなさんももし小与島に行くことがあったら、この天然記念物のことも思い出してください。

 でも、もちろん分かっていると思いますが、取ったりしちゃダメですよ。