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第五章:明かりある世界へ・・・強烈な願いと勇敢な行動、そして祈り

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年3月1日更新

経営理念が目指すもの~市立病院から市民の病院へ~

 過去13年連続の赤字経営は単に病院だけの問題にとどまらず、坂出市全体の医療水準の低下をもたらし地域住民の損失となり、間接的にも市民生活に悪影響を及ぼした。
 医療とは地域に密着したものであり、その特性が反映されてしかるべきである。今まさに公立病院は、国が推進する医療機能の体系化と高齢化社会に対する老人保険福祉計画の中で、どのような役割を果たし、地域に貢献していくのかが問われている。しかし、市行政が明確かつ具体的な指針を提示できないでいる現在、市立病院が市民の付託に応えるべく、医療福祉施策を実現しなければならない。すなわち、単に病院だけの発展を目的とするのではなく、常に坂出市全体の中での役割を考え、市民が住んでいてよかったと思える真の意味での市民のための病院~市民の病院~にならなければならない

市民の健康な生活を支え、市民からも支えられる病院へ

 94年度の坂出市民の国保入院患者の28%は車で一時間弱の高松市の高次医療機関に入院している。命に関わる病気はほとんどすべて高松市でという現実は、病院存在意義に対する市民の痛烈な批判であった。病院健全化と共に95年度以降の割合は減少しつつあるが、まだまだ高松市依存型に変わりはない。すべて坂出市でとまではならなくとも、大多数は市内で対応すべきである。「ストップ・ザ・高松」こそが、問われている市立病院の「在り方」への回答でもあり、目指すところである。96年度高齢化率18.8%は香川県下5市で最高位であり、この数字を無視しての病院将来像はあり得ない。保健・福祉との関わりを強めつつ、しかも市立病院主導で市保健・福祉部門の病院への統合を前提に、地域の医療福祉機関の支援を果たしたいと考えている。そうすることによって、市民の健康な生活を支え、市民から「わが町の病院」と支えられる、そういう病院を作りたい

次の世代への贈り物

 日常性に埋没した前の世代の病院首脳陣と職員が我々に残してくれたものは、約25億円の累積赤字と古い体質、そして築後40年の老朽化した病院という三拍子そろった誠に見事なものであった。必然的にもたらされた医療レベルの低下は、市民生活にまで悪影響を及ぼし、坂出市全体の沈滞化へつながっていった。同じことを次の世代の市民や病院職員に遺して良いわけがない。患者との信頼感を構築できる豊かな人間性と正しい論理感を備え、10年後あるいは20年後、いや50年後の社会でさえ耐え得る、そして市民と職員が共に喜べる自治体立病院ならではの医療システムを作り上げることこそが我々坂出市立病院職員の使命である。まさに今、その明かりある世界へ向けての取り組みが始まったのである。
 当院の経営健全化の原点は松浦稔明坂出市長の決断と実行にあることを認識すると共に、市議会の支援によりなされつつあることを付記する。また、具体的な取り組みは 広島国際大学助教授の谷田一久氏、当時(社)病院管理研究協会専門調査役の協力のもとに進められ、ここに感謝の意を表す。

広島国際大学教授 谷田一久氏

広島国際大学教授 谷田一久氏


第四章


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