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施政方針

印刷用ページを表示する更新日:2022年3月8日更新
 令和4年3月定例会の開会にあたり、提出いたしました諸議案のご審議をお願いするに先立ちまして、新年度の施政の方針について申し述べたいと存じます。

 昨年6月、私が坂出市長という重責を担わせていただくことになり早や9ヵ月が過ぎました。その間、市政運営にいただきましたご支援・ご協力に感謝申し上げますとともに、改めてこの職責の重さを痛切に感じているところでございます。市民の皆さまの期待に応え、与えられた責任を全うできるよう、坂出市の可能性を最大限に引き出し活かすまちづくりに全力を傾注してまいる所存ですので、引き続き、議員各位ならびに市民の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。

 新型コロナウイルス感染症が世界規模のパンデミックをもたらし2年が経過しましたが、相次ぐ変異株の出現により、いまだ終息への道筋は見えておりません。何度も繰り返す感染拡大の波は社会経済活動を機能不全に陥れ、特に今年1月から始まった第6波はこれまでにないスピードで感染を広げております。このような状況のなか、中讃地区で唯一の第二種感染症指定医療機関の指定を受ける坂出市立病院は、市民のみならず中讃地域の安全・安心を守るため、感染症対応と地域医療の提供を並行して担うなど、公立病院としての使命を果たしてきたところであります。それら医療・介護・福祉などの最前線において私たちの生活を支えていただいている全てのエッセンシャルワーカーの皆さまに、この場を借りて心より感謝申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症は私たちの生活に大きな脅威となった一方で、リモートワークやオンライン会議の導入、新たな生活様式への移行や地方移住への関心の高まりなど、企業や人々の意識・行動を大きく変化させる契機となりました。国は、コロナ後の新しい社会の開拓を目指して「デジタル田園都市国家構想」を掲げ、地方へのデジタル実装を強力に推進する施策により、持続可能な地域社会の実現を目指しております。本市でもこれらの潮流をしっかりと捉え、デジタル技術の導入をはじめ地域経済の振興や移住・定住の増加に向けた積極的な取組みを推進していくことで、将来にわたって持続可能なまちをつくっていかなければなりません。

 さて、本市は、まちづくり基本構想で掲げた「働きたい 住みたい 子育てしたい 共働のまち さかいで」をまちの将来像として、その実現に向けた取組みを進めております。私は、その中でもJR坂出駅前を中心とした駅周辺エリアの再生を通じて、「市民が心豊かに ゆとりを持って暮らせるまちづくり」に重点的に取り組むことによって、本市の魅力向上を図ってまいります。
 現在の坂出市は、市民はもとよりまち全体が、長引く停滞感のなかで自信を失っているように感じております。その大きな要因の一つが、まちの新陳代謝の遅れではないでしょうか。本市は、塩づくりや塩の積み出しなどで製塩・商業都市として栄えたのち、番の州臨海工業地帯の造成を機に、重工業中心の工業都市として発展してまいりました。四国の重要な物流拠点である坂出港や高速道路のインターチェンジを複数擁する本市の高い交通利便性を魅力として、大企業をはじめとする多くの企業が立地し、長年にわたり本市は四国屈指の「働くまち」としての地位を獲得してまいりました。
 しかし、近年は、日本経済の構造変化や景気低迷を受けた市内の大企業の規模縮小や撤退が相次ぎ、それに呼応するように中心市街地からは人流が減少し、新規投資の減少や廃業の増加もあいまって、まちは輝きを失っております。蔓延する停滞感が自信の喪失につながり、本市は次代のまちの将来像を描けないままであります。
 誰かがこの現状を打開し、「転換」させなければなりません。市民や民間事業者、NPO法人といった多様な主体を巻き込みながら、希望を持てるまちの将来ビジョンを設定し、市民の豊かな暮らしをデザイン・提案していく、そのための地域の舵取り役が、今の坂出市において行政に求められている役割だと考えております。
 しかし、目指す方向性が無秩序にトレンドを追い掛けるものであったり、単に他市を模倣するものであっては施策の効率性や完成度の高さは望めず、没個性化したまちになってしまいます。そこで、まちづくりにおいては、本市の資源や強みを最大限に活用することが大変重要になります。

 本市の最大の強みは、四国屈指の交通利便性の高さであります。JR坂出駅は、乗降客数が四国で4番目を数えるほか、半径3キロ圏内に坂出港や高速道路のインターチェンジなどの交通重要拠点が位置し、さらには市内交通インフラとの結節拠点でもあります。しかし、駅前に日常のにぎわいは乏しく、このエリアの高いポテンシャルを十分に活かしきれていない現状にあります。
 そこで、新年度はまず中心市街地、特にJR坂出駅周辺エリアの大胆なエリアマネジメントに着手してまいります。市民や学生、民間事業者等にもご協力をいただきながら、このエリア全体の機能の最大化に努めてまいります。
 さらに、本市の特徴として、高い昼夜間人口比率に象徴される「しごとの豊富さ」や、瀬戸内海や里山などの「豊かな自然環境」が挙げられます。しかし、本市が「働くまち」としてだけでなく「住むまち」として人々を強力に惹きつけるためには、まだまだ工夫が必要であります。「住むまち」として選ばれるためには、日々の暮らしの中で満足感や幸福感を感じられるような場所や空間・機会が地域にいかに多く存在するか、が大変重要な要素となります。
 そこで、多様な世代が日常的に集い交流し、幸せを実感できるような「市民の居場所」づくりに取り組んでまいります。
 具体的には、JR坂出駅前に図書館機能を核とした複合施設を整備し、文化や情報の受発信拠点とするとともに、周辺にオープンスペースを配置することで人の流れやにぎわいに拡張性を持たせ、周辺地域への経済効果の波及やエリアの価値向上を通じた民間投資の増加につなげてまいります。また、市内公共交通網の整備や、若い世代を対象とした大胆な子育て施策にも並行して取り組むことで、複合施設との相乗効果を創出していく考えであります。
 続いて、本市の豊かな自然を活かした生活環境の向上を図ってまいります。現在、本市の自然資源は観光など非日常的な場面で取り上げられることが多く、いわば日常生活とは切り離された状態であるといえます。しかし、グリーンインフラとも言える豊かな自然を日常生活に取り込むような工夫を施すことによって、本市における暮らしの満足感・幸福感を飛躍的に高めることができるものと確信しております。
 この理念を具現化するものとして、さぬき浜街道沿いに立地する坂出緩衝緑地の再整備に取り組んでまいります。市街地を分断するように位置している坂出緩衝緑地は、整備から40年を超えて木々が大きく成長・繁茂し、若い子育て世代や高齢者が気軽に立ち寄れる場所ではなくなっています。しかしながら、私はこの坂出緩衝緑地を本市の貴重な財産であると捉えております。住宅地からほど近いこの広大な空間を、新たな仕掛けによって誰もが訪れたくなるような心地よい空間に生まれ変わらせることで、暮らしの満足感・幸福感の向上につなげてまいります。令和6年度の供用開始を予定している坂出北インターチェンジのフルインター化およびさぬき浜街道の4車線化によってさらなる交通量の増加が予想されることから、この機会を捉えた本市のイメージ転換も図ってまいります。

 このように、私は本市の資源や強みを最大限に活かして、暮らしの満足度向上とまちのイメージ転換を図る施策によって、坂出市を「働く」ことと「住む」ことを高水準で両立できるまちにしたいと考えております。市民が地域で魅力ある仕事を得ながら日常生活においても幸福感を得られるよう、「わくわくする刺激」や「心地よい落ち着き」が各所に次々と生み出されるまちを目指して、まずは行政が率先してまちの再生に向けたきっかけづくりに取り組んでまいります。
 その実現に向けて、4月からは新たに政策部を設置し、戦略的で機動的な執行体制を構築いたします。特に、政策課内に新設する「公民連携・DX推進室」を中心として、民間事業者等の知恵やノウハウ、資源を最大限活用するなど、公民連携を軸とした持続可能な行政運営が実現できる組織体制の整備を図ってまいります。また、昨年9月に宣言した「ゼロカーボンシティ」の実現やデジタル化の推進、市有資産の活用やふるさと納税による自主財源の確保など、アフターコロナを見据えた新たな行政課題に対し、各種施策を政策的・総合的に展開できる組織体制としてまいります。
 今年は、市制施行80周年という節目の年を迎えます。2月に供用を再開した坂出市民ホールにおいて挙行される記念式をはじめ多彩な催しで、皆さまとともに本市の歴史を振り返りつつ、未来の坂出について考える機会としたいと考えております。記念すべきこの年を、10年後の本市を見据えた重要な一歩を踏み出す年とするため全力を尽くす所存でありますので、議員各位ならびに市民の皆さまのご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 このような方針を基に編成いたしました新年度予算は、一般会計で257億3、500万円、特別会計では131億8、183万2千円、企業会計としては、病院事業会計で70億4、581万6千円、下水道事業会計では20億2、327万7千円を計上いたしました。以下、主な事業の概要について、まちづくり基本構想に示す6つの大綱に沿ってご説明いたします。

第1の目標は、「すべての人がいきいきと輝くまちづくり」
であります。

 人口減少・少子高齢化の進展とともに地域課題も複雑・多様化するなか、住みやすく幸せを実感できるまちの実現とその持続的な運営には、市民や民間事業者等、多様な主体との連携や協働を推進する必要があります。そこで、広く民間事業者等の知恵やノウハウを取り入れる公民連携の推進によって、効率的な行政運営と魅力あるまちづくりに取り組んでまいります。
 先般、本市で初めてとなるサウンディング型市場調査を実施し、公共空間のあり方や市有地の活用等について民間事業者より多数の魅力あるご提案をいただきました。新年度は、これらを参考にJR坂出駅周辺のエリアマネジメントに着手してまいります。交通利便性の高い同エリアのポテンシャルを存分に活かし、市民の満足度向上やまちのイメージ転換を図るため、JR坂出駅周辺の再整備に向けた基本構想を策定し、エリアの将来像をお示ししてまいりたいと考えております。
 また、市内に4つの高等学校を有する本市の特徴を活かし、高校生の声や感性をまちづくりにつなげる取組みも行ってまいります。具体的には、JR坂出駅前に整備する複合施設や坂出緩衝緑地のあり方についてご意見・ご要望をお聞かせいただくワークショップを開催するほか、市内の有料ごみ袋にも高校生によるデザインを取り入れてまいります。
 さらに、住みやすく持続可能なまちづくりには、地域の皆さまのご協力や主体的な活動が欠かせません。年々増え続ける野良猫による生活環境悪化への対策として、新年度より飼い主のいない猫の不妊去勢手術を行う団体や個人に対して補助を行ってまいります。また、本事業にあたってはクラウドファンディングを実施し、皆さまからいただいた支援を財源の一部として活用させていただきます。こうしたクラウドファンディングの活用は、財政的支援の側面のみならず、地域が抱える課題に対して広く市内外の皆さまに共感や当事者意識をお持ちいただく機会としても有効であることから、今後のまちづくりにも広く取り入れてまいります。
 続いて、国が「デジタル田園都市国家構想」に掲げるように、持続可能な地域社会の形成には地方におけるデジタル実装が必須となってまいります。本市でも、香川県が主導し4月より本格始動する地域のDX推進に向けた取組み「かがわDXLab」へ積極的に参画するほか、次代のデジタルインフラとも言えるマイナンバーカードの普及に鋭意取り組んでまいります。また、同カードの取得者が利用できるオンラインサービス「マイナポータル」において26の行政手続きが行えるよう実務的な対応を図り、市民の手続き利便性の向上とともに行政の業務効率化を目指します。
 行政運営には「都市経営」の視点の導入が不可欠であります。前例や慣習に捉われることなく、費用対効果を意識した施策の選択や改善に力点を置いてまいるほか、公共工事の品質確保や地域経済の健全な発展を目的として、総合評価方式による入札を取り入れてまいります。さらに、積極的な自主財源の確保にも取り組んでまいります。今年度は、市税滞納者の差し押さえ物品の現金化にインターネットオークションを活用する取組みを開始したところでありますが、新年度は、市有資産について民間のアイデアを活かした有効活用を模索してまいるほか、老朽化等により使用されていない公営住宅や旧藤田外科等について建物の除却を行い、跡地の売却等も検討してまいります。並行して、ふるさと納税の増収に向けた返礼品の拡充や事業運営の見直し等に取り組むことで、自律的かつ積極的な行政運営に必要となる安定した財政基盤づくりを目指してまいります。
 男女共同参画社会の形成については、令和2年度に策定した第2次坂出市男女共同参画計画に基づき、「誰もがともに輝き 認め合い 創るまち」の実現に向けて、各分野にわたる施策の実施やあらゆる機会を捉えた啓発活動を行ってまいります。

第2の目標は、「安全で環境に優しく持続可能なまちづくり」
であります。

 防災体制の強化・充実について、南海トラフ巨大地震や頻発する台風・集中豪雨等の被害に備え、災害時の安全確保を図ってまいります。昨年3月に県から発表された高潮浸水想定区域に基づき、新年度に高潮ハザードマップを作製するほか、港湾における地震・津波対策として、県が平成26年度に策定した「香川県地震・津波対策海岸堤防等整備計画」に基づき、新年度より西運河地区の護岸等の整備に係る調査・設計を実施いたします。また、豪雨等による市街地の浸水被害を防止するため、排水機能を担うポンプ場のうち、三七・東浜の2ヵ所について老朽設備の更新や改修を行ってまいります。さらに、地盤崩壊や土砂流出等の山地災害を防止するため、王越地区において土留工事による治山事業を実施いたします。
 消防力強化については、小型動力ポンプ積載車や防火衣等、消防資機材の更新整備を行うほか、令和7年度に予定する救助工作車の更新に向けて基金を積み立ててまいります。その他、団員数減少に伴い負担が増加している消防団員の処遇改善のため、報酬の見直しを行うとともに、消防団結成75周年を記念して団旗を更新し、団員の士気高揚および団結力の向上を図ります。また、与島分団櫃石屯所は、浸水想定区域に位置し老朽化の程度も著しいことから、旧櫃石中学校の敷地内に移設するため、既存校舎の改修および増築工事に向けた実施設計を行ってまいります。
 環境保全と環境衛生の充実については、昨年9月に脱炭素社会の実現に向け2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言したところであります。新年度は、市民・地域企業・行政の地域全体における再生可能エネルギーの導入可能性を探り促していくため、再生可能エネルギー導入推進計画を策定してまいります。また、本庁舎および教育会館に用いる電力をすべて再生可能エネルギーに転換することで年間約332トンのCO2排出削減を図るほか、市内全域の道路照明灯をより環境負荷の少ないLED灯に交換してまいります。さらに、宅配の再配達に伴うCO2排出量の増加に着目し、宅配ボックスを新設する世帯に対する補助制度も創設してまいります。
 老朽化が著しい田尾火葬場については、新たな整備に向けて今年度検討委員会を立ち上げ、基本構想の策定に向け取り組んでいるところでありますが、新年度は基本計画の策定に着手してまいります。また、市営田尾墓地についても、計画的な樹木伐採や剪定を行い、良好な景観の維持や環境整備に努めてまいります。
 角山環境センターについては、今年度より3ヵ年計画で延命化工事に着手しておりますが、新年度および令和5年度は他の可燃ごみ処理施設の協力を得ながら事業を継続し、市民生活に支障をきたすことのないよう円滑な管理・運営を行ってまいります。
 交通安全の推進については、新年度より新たに用水路への転落等の事故防止対策を強化してまいります。


第3の目標は、「健康で安心して暮らせるまちづくり」
であります。

 保健・医療の推進については、引き続き新型コロナウイルス感染症対策に万全を期すとともに、迅速かつ安全なワクチン接種体制を確保し、市民が安心して接種できる環境づくりに努めてまいります。また、坂出市立病院では、地域の医療機関とも連携しながら感染症対応と地域医療の提供の両立に引き続き取り組んでまいるほか、健全な公立病院運営の実現に向けて、国が示すガイドラインに基づく改革プランを策定してまいります。さらに、令和6年4月から実施される医師の働き方改革に対応するため、勤務環境の改善および医療提供体制の確保に向け、必要な措置を講じてまいります。
 続いて、若い子育て世代に選ばれるまちを目指し、当世代が抱えるさまざまな課題に対する支援を行ってまいります。
 まず、少子化対策として新年度より結婚新生活を財政的に支援する補助制度を創設いたします。これまで新婚世帯を対象に行っていた民間賃貸住宅の家賃補助に加え、住宅取得や引越に係る費用、リフォーム費用などを幅広く対象とすることで、財政的負担が支障となって結婚や出産に踏み切れなかった若い世代の結婚、妊娠・出産、子育てしやすい環境づくりを進めます。
 ひとり親家庭については、生活基盤の安定と子どもたちの健やかな成長に向けて、養育費の受け取りを確実にするための公正証書等の書類作成や民間会社との保証契約に要する経費に対し、県内自治体では初となる補助制度を創設してまいります。
 就学前の教育・保育については、施設内における感染症対策の徹底はもちろん、保護者の不安・ストレス軽減に向けた支援を強化してまいります。また、坂出市就学前施設再編整備方針に基づき、幼稚園と保育所を統合し、認定こども園への移行を順次進めているところです。新年度は、川津地区において認定こども園を開設し、新園舎として既存施設の改修整備を行ってまいります。さらに、子育て支援策の拡充として、市立認定こども園で新たに一時預かり事業を開始いたします。
 市民の健康増進に向けては、高齢者に対するフレイル予防をより効果的に実施するため、今年度より高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施する取組みを開始しております。高齢者の「通いの場等」への医療専門職の派遣については、医療・介護・保健に関するデータの総合的な活用によって地域の特性に応じたアドバイスが可能となり、新年度からは対象者を拡大して実施してまいります。
 高齢者福祉については、介護予防の充実や認知症施策の推進など高齢者福祉計画および第8期介護保険事業計画に掲げる目標達成に向けて、実施状況の把握や課題分析・評価を行うことで地域包括ケアシステムの深化・推進を図るとともに、次期計画の策定に向けた日常生活圏域ニーズの調査等に着手してまいります。
 障がい者福祉については、心身に重度の障がいを持つ方が社会参加しやすい環境を整備するため、タクシー利用に対する補助制度を創設いたします。
 これら高齢者や障がい者・生活困窮世帯等、支援を必要とする方々が抱える課題は、年々複雑・複合化しております。市民が互いに支え合い助け合うことで、一人ひとりが生きがいを感じられる「地域共生社会」の実現を目指し、それらの課題に包括的に対応できる体制の整備に向けた検討を進めてまいります。
 人権尊重社会については、部落差別をはじめインターネット上での人権侵害など、依然としてさまざまな課題が存在するなか、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、医療従事者や感染者らに対する「コロナハラスメント」と呼ばれる差別が広がっております。本市といたしましては、正しい情報の提供や啓発活動等を通じて差別解消および人権尊重意識の普及に努めるとともに、近年、社会的関心が高まっているLGBTまたはLGBTQと呼ばれる性的マイノリティについても、広く情報提供を行い正しい理解を促すことで、多様性を尊重し市民の誰もが自分らしく生きていくことのできる社会の実現に努めます。

第4の目標は、「未来を拓く力をはぐくむまちづくり」
であります。

 子どもたちの教育環境の整備については、GIGAスクール構想の実現に向けてICT機器の有効活用をさらに進めてまいります。今年度より、一部の小・中学校においてデジタル教科書を導入したところでありますが、令和7年度までに全教科・全学年での本格的な導入を目指し、新年度は対象校を市内全域に拡大してまいります。
 また、ふるさと坂出を誇りに思う教育の充実を図ってまいります。今年度より、小学校において身近な地域の探求活動等を行う「ふるさと理解推進事業」を2校で先行実施しておりますが、新年度はこの取組みを市内全小学校に拡大してまいります。さらに、平成29年度から短縮しておりました市立小・中学校および幼稚園の夏季休業期間について、新年度より従前に戻し2学期開始を9月1日からといたします。期間短縮の主な要因であった学習指導要領の改訂に伴う授業時間の確保について、学校行事等のあり方を見直すことで十分な対応が可能となったことから、普段学校では体験することのできない自然体験や地域活動への児童・生徒の参加、教員研修をはじめとする校内体制の準備期間等、夏季休業期間の意義を重視してまいりたいと考えております。
 PFI方式により整備している新たな学校給食センターについては、いよいよ新年度2学期から運営開始となります。市立小・中学校および幼稚園の全てを賄う1日約4、000食分の調理が可能となるほか、新しい設備の導入によってこれまでより多彩なメニューの給食提供が可能になります。地元の生産者等と連携し地場産品の活用を促進することで、「給食」を接点として子どもたちのふるさとへの愛着を育むとともに、あわせて小学校の給食費を無償化することで、子育て世代から選ばれるまちを実現してまいります。
 学校再編については、子どもたちにより良い教育環境を提供するため、望ましい学校の適正規模や適正配置について、社会情勢や教育現場の実情等を踏まえながら総合的な判断を行っていく必要があります。今年度に設置した学校再編整備検討委員会のご意見もお聞きしながら、新年度は全体計画の策定に着手してまいります。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響により学級閉鎖や休校が相次いでおります。学校における感染症対策と健やかな学びの保障の両立を図るとともに、子どもたちの心身の状況把握と心のケアに努めてまいります。さらに、新型コロナウイルス感染症に関する誤った情報による誤解や偏見、いじめ等が引き起こされることのないよう、子どもや保護者に対する正しい情報提供や啓発活動を行ってまいります。
 生涯学習やスポーツの振興については、新年度に全国高校総体が四国ブロックで開催されることに伴い、8月に府中湖カヌー競技場でカヌー競技大会が開催されます。本市における総体の開催は24年ぶりであり、本市の認知度向上を図る機会としても積極的に活用してまいります。
 市立体育館については、新年度に空調設備を新設いたします。風の影響を受けやすい競技での使用頻度が高いことから、無風状態での冷暖房が可能で、従来の方法と比べてCO2排出量が大きく低減する輻射式冷暖房システムを用いることとしております。本施設は災害時の避難所としても指定されていることから、有事における避難環境の向上にも寄与するものと考えております。
 王越町の「交流の里 おうごし」については、地元団体の協力を得て、令和2年度より利用者向け体験学習プログラムを10コース設けるなど、アフターコロナの利用回復に向けた魅力向上に取り組んでおります。また、地域住民の生涯学習の場として使用されている王越公民館の老朽化対策として、「交流の里 おうごし」の施設を一部改修し、地域住民が使用できる料理実習室を新設してまいります。
 文化の振興について、大橋記念図書館はコロナ禍以前の年間来館者数が15万人を超えるなど、子育て世代やシニア世代を中心に広く市民から愛されている施設であります。文化や情報の受発信のみならず、市民活動の拠点や地域との心理的つながりの場など、図書館は多様な可能性を秘める場であり、私はJR坂出駅前に整備する複合施設について、この図書館機能を核としてまいりたいと考えております。すべての市民が居場所として集え、多方面において市民の心の支えやまちづくりの拠点となる施設を目指して整備を行ってまいります。
 市民美術館については、これまで本市ゆかりの芸術家に焦点を当てる企画により、才能あふれるアーティストを多数発掘してまいりました。まちづくりに積極的に関与してくださるアーティストも多く、彼らの作品はまちの景観に趣や華やぎを添えてくれています。新年度は、新たに外国人アーティストを招待し、高い芸術性に触れる機会を創出するとともに、次なる展開につなげてまいります。
 さらに、本市の貴重な歴史資産である府中町の讃岐国府跡についても、発掘調査を継続して実施してまいります。貴重な文化財の保護とともに、観光面でも高いポテンシャルを有する同エリアの積極的な活用に努めてまいります。

第5の目標は、「快適な都市環境を実感できるまちづくり」
であります。

 現在の本市最大の課題であり、まちの将来に向けた大事な鍵となるJR坂出駅周辺エリアの再生に着手いたします。エリアのポテンシャルを最大限に活かすため、大胆なエリアマネジメントを行ってまいります。訪れるみなが心地よく、また利便性の高い空間の創出に向け、建物およびオープンスペースの機能や配置、導線のあり方等について検討し、新年度は基本構想を策定してまいります。また、基本構想で描くエリアの全体マネジメントに基づきJR坂出駅前の複合施設の整備方針や市民広場の活用法について検討を進めるとともに、JR坂出駅前につながる市民ホール前広場および周辺歩道についても歩きたくなる空間の創出に向けた設計業務を行い、同エリアの価値向上につなげてまいります。
 これらのプロジェクトについては、特に公民連携による事業成果の最大化を期待しているところであります。民間事業者との対話を通じて、多様な選択肢から最適なものを選びブラッシュアップすることで、本市の強みを最大限に活かした、本市ならではのまちの基本構想を作り上げてまいります。そして、このプロジェクトの成否を大きく左右するのが、参画するプレーヤーの熱量をいかに最大化できるかという点であります。まずは、行政が明確なビジョンを示し、その理念に共感しまちの再生をともに目指してくださる民間事業者や市民をいかに多く集められるか、またプレーヤー間の相乗効果をいかに生み出していけるかについては、行政の信念と胆力が試されるところであります。4月に新設する「公民連携・DX推進室」を中心に、庁内一丸となってプロジェクトの成功に向けて邁進してまいります。
 坂出緩衝緑地については、市民がゆったりと時間を過ごせるような心地よい空間への再整備を目指しております。今年度、県においてサウンディング型市場調査を実施したところでありますが、新年度は具体的な方針や手法等について県と協議を重ねながら、実現に向けた検討を進めてまいります。さらに、市内に点在する都市公園についても、市民が日常的に親しみ利用できるような空間とするため、その機能や魅力づくりの方策について検討してまいります。
 また、これら最重要プロジェクトの将来にわたる確実な遂行に向け、新年度より「まちづくり未来基金」を創設してまいります。
 その他、都市基盤の整備については、これまで実施してきた京町線・福江松山線・駒止谷内線・駒止大池線の街路整備に加え、交通ネットワークの強化および通学路の安全確保のため、新たに室町谷内線の整備に着手してまいります。また、市道の拡幅や排水整備等を計画的に実施し、交通の円滑化や生活利便性の向上を図ってまいります。
 港湾事業については、昨年8月に東京港との定期RORO船の就航が実現したところであります。今後も航路の維持・拡充に努めるとともに、坂出港のさらなる競争力向上に向けて、今年度中に策定予定の坂出港長期構想のビジョンを港湾計画に具体化させ、坂出ニューポートプランの実現を図ってまいります。また、今年度、四国地方整備局が実施する「カーボンニュートラルポート形成に向けた勉強会」において坂出港がモデル港として選定され、具体的な取組みに向けた検討が進められております。この検討成果も活かしながら、坂出港に係るカーボンニュートラルポート形成計画の策定を進めてまいります。その他、新年度は坂出港中央埠頭の岸壁改良工事を実施し、安全性の確保および施設の延命化を図ってまいります。
 下水道事業については、施設の効率的管理や長寿命化を図るためストックマネジメント計画を策定し、計画的な点検や調査・改修等を実施しております。新年度は、川津町の都市下水路事業において新たに全体計画の策定に着手するほか、すでに策定済みである西部雨水ポンプ場についても、改修工事を実施してまいります。
 都市環境の整備について、本市の公共交通は慢性的な赤字状態に新型コロナウイルス感染症による利用減少が追い打ちをかけ、抜本的な見直しの必要性が高まっております。坂出市地域公共交通活性化協議会において、周辺自治体との連携も視野に入れた交通体系について検討し、新年度には地域公共交通計画の策定を完了してまいります。
 市営住宅については、中長期的な観点から需要戸数を把握し、団地ごとに今後の管理方針を定めることで管理・運営の効率化を図るとともに、定期点検や早期修繕によってライフサイクルコストを縮減するため、新年度に市営住宅長寿命化計画を策定してまいります。
 さらに、年々増加する空き家対策については、今年度、市内全域を対象とした実態調査を実施し、それを踏まえた空き家等対策計画の見直しを行っているところです。従来の老朽危険空き家の除却支援に加え、空き家・空き店舗と移住者や創業者とのマッチングを図るなど、その有効活用にも努めてまいります。

第6の目標は、「元気とにぎわいのあるまちづくり」
であります。

 移住・定住の促進について、総務省が発表した2021年の住民基本台帳の人口移動報告によりますと、比較可能な2014年以降で初めて東京23区の人口が転出超過となり、東京への人口集中が緩和されている状況がうかがえます。これを機会として本市への移住増加を図るため、新年度から創設する結婚新生活支援事業については、移住検討者に対しても支援内容を広くPRしてまいります。
 農業の振興については、県内で新品種の育成や作付け拡大が推進されているアスパラガスについて、特に労働量の多い選別作業を効率化することで労働負担の軽減および生産性向上を図るため、香川県農業協同組合における選別工程の機械化に対して補助を行ってまいります。
水産業の振興については、新型コロナウイルス感染症による急激な売上減少に対し、漁業者の経営安定を図るため、新年度も引き続き、県と協調による経営資金の借入に対する利子補給に取り組んでまいります。その他、本市の新たな特産品につながる水産養殖種の育成に向けて、種苗購入に対する補助を行ってまいります。
 商工業の振興については、地域経済の重要な基盤である中小企業の活力発揮および創業の増加に向けて、昨年2月に坂出ビジネスサポートセンター(Saka-Biz)を開設し多くの事業者の方々にご利用いただいているところであります。新年度は、より実効的な企業支援の推進に向けて、中小企業・小規模企業振興基本計画を策定してまいります。
 また、各種産業の商品やサービスについて、ふるさと納税のシステムを活用した地域の事業者の販路開拓に取り組んでまいります。新たな地域資源の掘り起こしに向けた事業者への積極的な働きかけや、出品手続きの支援などによって、本市特産品のPRおよび寄付額の増加も目指してまいります。
 続いて、企業誘致については、番の州臨海工業団地に企業の進出が相次ぎ、先般、県有地が完売したところであります。坂出北インターチェンジのフルインター化やさぬき浜街道の4車線化に伴い、企業活動における本市の地理的優位性がさらに高まることから、各種規制等についても諸条件を勘案しながら柔軟に対応していくことで、さまざまな企業の立地可能性を模索してまいります。
 さらなる観光振興を推進するため、新年度より観光協会を法人化いたします。法人化により旅行業の登録が可能となることから、本市の観光資源を活かして地域の魅力を最大限にPRできるよう、旅行ツアーの企画も含めた積極的な事業展開による、自立的な組織運営を目指します。また、法人化にあわせて、これまで3ヵ所に分散していた活動拠点をJR坂出駅構内の観光案内所へ集約しリニューアルするなど、利用者の利便性向上を図ってまいります。
 4月には、本市において4回目となる瀬戸内国際芸術祭が開催されます。県内周遊事業として瀬居町でも神戸芸術工科大学によるアートプロジェクトを開催する予定としており、地元自治会をはじめ、市民団体や企業等と一丸となって芸術祭の成功に向けた準備を進めてまいります。また、会場では、大漁旗や本市の海産物を描いたタオル等の物販を行い、来場者に本市のイメージを強く印象付けてまいります。
 さらに9月には、崇徳上皇ゆかりの青海神社を舞台に、能楽公演「松山天狗」を開催いたします。京都から金剛流の能楽師をお招きし、かがり火を焚いた幻想的な雰囲気の中で行う「薪能」により、参加者に郷土の歴史を再認識していただき、愛着醸成を図ってまいります。
 その他、既存のイベント等については、費用対効果を精査しアフターコロナのニーズに適した企画となるよう見直しや改善等を図ることで、効率的かつ効果的なイベント開催を行ってまいります。

 以上、市政に臨む施策の大綱を申し述べました。
 これらの施策を通じてまちの資源や強みを最大限に活かし、「市民が心豊かに ゆとりを持って暮らせるまちづくり」を推進してまいります。まちの停滞感を払しょくし、皆さまが希望を持てるようなまちへと転換させていくことが、まず私に与えられた使命であると考えております。複合施設の整備をはじめ、さまざまな施策を戦略的・効果的に連動させながら、若い世代をはじめとした全世代の生活の満足感・幸福感の向上を目指し、全力で取り組んでまいります。
 何とぞ、皆さま方のご理解とご協力、ご支援を賜りますよう心からお願い申し上げる次第であります。