令和元年度 坂出市立病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 536 128 82 98 216 323 743 1208 899 275
当院は、地域の中隔病院として幅広い年齢層の患者さんに医療サービスを提供しております。
中でも、がん、循環器、呼吸器を中心とした診療をしていることから60代以上の患者さんの割合が多い傾向にあります。
一方で小児の患者さんの感染症に対する入院治療もおこなっているため、10歳未満の患者さんの割合も比較的高く約15%を占めております。
また、60代以上の患者さんは約70%にのぼり、90歳以上の超高齢者も6%を占め、地方の高齢化を反映したものとなっています。
平均年齢は61.5歳となっており、小児科を除いた平均年齢は69.3歳となりました。
昨年度と比較して平均年齢は変わらず、各年齢層がまんべんなく入院する急性期医療を展開していることが分かります。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 99 2.04 3.01 2.02 70.26
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 67 8.67 9.79 1.49 76.42
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 62 16.21 20.84 22.58 83.95
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫 58 15.91 15.79 0.00 68.59
050130xx99000x 心不全 57 14.40 17.71 19.30 84.02
狭心症に対するカテーテル検査入院が最も多くなっています。この疾患は動脈硬化に由来し高齢化と生活の欧米化に伴い、年々、増加しています。当院では、週2回の検査日に加えて緊急カテーテル検査・治療に対応できる体制を整えています。令和元年度には、1ヶ月の休止期間をいただき最新の血管撮影装置に更新いたしました。
誤嚥性肺炎は、平均年齢85歳、平均在院日数16日、転院率22%と転院率が比較的高くなっております。地域の介護・福祉施設より紹介されるケースが3割と高く、入院時より退院支援を開始し、病状の安定が得られたところで、紹介先もしくは適切な医療機関・施設へスムーズに紹介が行えるよう努めております。そのため平均在院日数も短くなっております。
心不全は、地域の医療機関・施設より紹介され救急外来受診される患者さんが多くなっております。また平均年齢が84歳と高齢となっております。治療に加え平均して入院4日目の早期より心臓リハビリテーションを行っており、また近隣の病院とも連携して早期の退院に向け取り組んでいます。
胆・膵領域では、急性胆管炎の患者が多くなっております。救急疾患であり、黄疸や腹痛、炎症が強い場合には迅速な処置を施さなければ生命に危機を及ぼす疾患です。休日、夜間でも内視鏡治療が実施できるよう、医師・看護師・技師が24時間体制で対応しております。また当院では、他の施設で発症した胆管炎も積極的に受け入れております。
血液内科では、悪性リンパ腫に対する化学療法入院が多数を占めています。急性白血病、骨髄異形成症候群に対する化学療法入院も行っており、クリーンルームも備えております。中讃地域の血液内科の中核を担うべく日々、診療をおこなっております。また、化学療法を始めると骨髄抑制がおき、感染しやすくなりますが、血液内科病棟では特に慎重な感染対策を実施しております。
今年度の集計には上がっておりませんが、当院では、外来に糖尿病センターを設置しており、現在通院中の患者さんは1500人を超えております。その内、血糖コントロールやインスリン導入が必要な患者さんについて入院治療を実施しております。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100380xxxxxxxx 体液量減少症 298 3.74 9.13 1.01 3.83
100393xx99xxxx その他の体液・電解質・酸塩基平衡障害 60 4.00 9.96 1.67 3.85
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 49 4.29 6.19 0.00 1.65
060380xxxxx0xx ウイルス性腸炎 34 3.24 5.39 0.00 5.82
0400801199x00x 肺炎等(1歳以上15歳未満) 14 5.57 5.69 7.14 4.64
感染症治療が中心であり、特に小児は脱水症をおこしやすいため、半数近くが脱水症の診断がついております。
実施件数10件未満で集計に含まれておりませんが、中等症までの食物アレルギー診断のための経口食物負荷試験や低身長に対する内分泌負荷試験も日帰り入院にて実施しております。小児科外来でご相談ください。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060335xx02000x 胆嚢水腫、胆嚢炎等 56 7.54 7.13 0.00 64.73
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) 44 6.84 4.85 0.00 69.57
060040xx99x60x 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 28 6.14 4.36 0.00 68.32
060150xx03xxxx 虫垂炎 24 6.25 5.45 0.00 36.92
060020xx99x30x 胃の悪性腫瘍 23 7.52 6.39 0.00 71.39
外科の上位疾患は、胆のう水腫、胆のう炎に対する胆のう摘出となっています。胆のう摘出以外に虫垂炎についても腹腔鏡下での手術を中心におこなっており、患者さんの身体への負担をなるべく少なくし、早期に社会復帰できるようにしています。
上位5位以内には入っておりませんが、早期がんに対しても腹腔鏡手術を実施しております。令和元年度、大腸がん手術の約7割を腹腔鏡手術で行っています。
また、H30年4月にはヘルニア外来を設置したことで、患者さんが受診しやすくなり手術件数が増加しています。
膵臓、胃、直腸肛門の悪性腫瘍で術後の化学療法の繰返し入院が多くなっていました。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 73 27.26 25.94 38.36 81.96
160760xx97xxxx 前腕の骨折 57 5.47 5.54 0.00 71.28
160780xx97xx0x 手関節周辺の骨折・脱臼 46 4.48 4.11 0.00 41.13
160690xx99xx0x 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 43 18.09 19.40 39.53 80.42
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 28 23.57 23.56 7.14 76.32
地域の高齢化を反映して、自宅や施設等で転倒後痛みを訴え受診される患者さんが増えています。
胸や腰の骨折は保存療法で入院安静となっています。コルセット着用で歩行器歩行安定した時点で入院リハビリ継続のため転院する患者の割合が約40%と高くなっております。
大腿の骨折は、手術療法で対応しております。当院での長期の入院によるリハビリテーションは困難なため、必要に応じて継続して治療が行えるよう転院調整を実施し、令和元年度は他院への紹介転院が4割近くになっています。
平成28年度より手の外科専門医が赴任されたことで前腕の骨折症例が上位になっています。手の外科とは整形外科の中でも肩から下の部分、肘、前腕、手関節、指などの上肢全体を専門的(外傷や変形、神経障害)に治療します。当院では、年間約200症例の手の外科手術を入院で対応しております。
膝を専門とする医師が派遣医師として来られており、必要な場合に応じて手術療法をおこなっております。
何らかの原因により股関節の軟骨が擦り減ってしまう疾患として変形性股関節症があります。進行してほぼ軟骨が消失してしまうと歩行が困難になるため、股関節を人工関節に取り替えることが効果的と判断された場合、手術を実施しています。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x0xx 肺の悪性腫瘍 41 8.44 11.51 4.88 71.22
040200xx01x00x 気胸 11 9.00 10.18 0.00 37.45
040040xx99070x 肺の悪性腫瘍 10 7.40 10.50 0.00 66.00
040200xx99x00x 気胸 9.11
040010xx99x30x 縦隔悪性腫瘍、縦隔・胸膜の悪性腫瘍 9.05
令和元年度、原発性肺癌の手術を33件施行し、その内70%の23件を胸腔鏡下で施行しております。安全な手術を第1に考え、患者さんの病態に沿った形で開胸、胸腔鏡下の選択を実施しております。胸腔鏡下での手術は患者さんへの負担も少なく在院日数も平均して9日と短くなっています。
また、術後の補助化学療法が必要な患者さんについては、呼吸器外科で担当しております。
この他にも、気胸に対する胸腔鏡下手術、縦隔疾患に対する手術、手掌多汗症に対する胸腔鏡下交感神経切断手術など幅広い疾患に対する治療を行っています。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 29 8.00 7.80 0.00 6.38
030430xx97xxxx 滲出性中耳炎、耳管炎、耳管閉塞 10 3.20 3.16 0.00 4.30
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 6.80
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 5.45
030270xxxxxxxx 上気道炎 4.94
扁桃肥大、鼻中隔弯曲症、慢性副鼻腔炎に対して手術療法をおこなっております。
扁桃肥大に対する手術は、小児の患者さんが中心で平均年齢7歳となっており、現在、全身麻酔下で手術を実施し約1週間の入院期間となっております。
耳鼻咽喉科疾患全般(耳・鼻・のど・頸部・顔面)を取り扱っており、重症度に応じて手術や入院治療を勧めさせていただきます。
ほとんどの疾患が当院で診断可能ですが、悪性腫瘍などの特殊な治療が必要な疾患につきましては、適切な施設を紹介させていただきます。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991x0x 前立腺の悪性腫瘍 45 2.00 2.49 0.00 70.78
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 40 2.25 5.61 0.00 57.90
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 15 5.80 7.07 0.00 74.53
110070xx02020x 膀胱腫瘍 7.25
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等 8.52
当科では、主に尿路(腎・尿管・膀胱)、男性生殖器(精巣・前立腺)の悪性腫瘍に対する経尿道的・開腹手術、良性疾患としては尿路結石や前立腺肥大症、副腎腺腫の手術を中心とした治療を行っています。
前立腺の悪性腫瘍が取扱い第1位となっております。腫瘍マーカー検査で異常を指摘された患者さんに対して、入院で前立腺がんの疑いで針生検を実施しています。
膀胱がんの患者さんに対しては、経尿道的に手術を実施して、組織確認を行います。筋層非浸潤性膀胱癌については、再発防止の目的で術後抗癌剤(ピラルビシン)を膀胱内に注入しています。
尿路結石および前立腺肥大等の良性疾患に対して、経尿道的な手術を実施しております。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 42 10 17 40 3 15 1 6,7,8
大腸癌 16 17 49 49 1 30 1 7,8
乳癌 2 1 1 0 0 0 1 7,8
肺癌 32 19 24 59 9 31 1 7,8
肝癌 1 0 2 3 0 6 1 7,8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
現在、日本で患者数の最も多い5つのがんを5大がんといいます。
令和元年度の病期(ステージ)ごとの診療実績を集計しました。再発症例については症例数のみ集計しています。
当院でのがん治療の患者数は、胃がん、肺がん、大腸がんの順となっています。
胃がんでは、内視鏡(カメラ)による早期発見、早期治療がおこなわれているためStageⅠの患者数が多くなっています。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、内視鏡的粘膜剥離術(EMR)など内視鏡治療を数多く行っております。
大腸がんは当院で3番目に多く取り扱っている癌腫ですが、Ⅲ期、Ⅳ期ともに37%と重症度の高い方の占める割合が多くなっております。
肺癌については、StageⅠの早期がんに対して胸腔鏡下の手術施行例が増加する一方で、Ⅳ期で診断・治療となる症例や再発治療も多くなっており、手術や抗がん剤治療、患者さんの病状に応じた治療を選択し実施しております。
上記は、入院によるものの集計ですが、外来治療も積極的におこなっており、外来化学療法室を設置しております。年々、外来での化学療法実施件数が増加しており令和元年度は前年比14ポイント増加した約1200件の外来化学療法を実施しました。
また、患者さんが安心して治療をおこなうことができるよう、がん関連の認定看護師を中心に多職種がそれぞれの専門性を活かして患者さん・家族のケアに努めております。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 24 10.00 55.46
中等症 91 12.90 75.45
重症 32 17.31 81.13
超重症 4 16.00 82.25
不明 0 0.00 0.00
市中肺炎とは、普段の社会生活の中でかかる肺炎のことです。
この指標では、細菌による肺炎を集計しており、 インフルエンザウイルスなどのウイルス性肺炎や高齢者で多くなっている食べ物等の誤嚥による肺炎は集計対象外となっております。
当院では、中等症以上の患者さんが91症例と最も多くなっております。重症度が高くなるにつれて、平均在院日数も長くなる傾向にあり、平均年齢も上昇傾向にあります。高齢者ほど重症化しやすいことが推察されます。
肺炎の治療では、原因菌に合わせた適切な抗菌剤の選択や酸素投与などの支持療法が重要となります。また、中等症以上では呼吸器リハビリテーションも大変重要となるため、なるべく早くのリハビリ導入を心がけております(令和元年実績:入院5日目より開始)。
重症度に関わらず呼吸器使用の場合もありますが、呼吸器装着から離脱までの管理を多職種からなる呼吸器チームが中心となりおこなっているので安心して治療をおこなって頂けます。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 8 26.63 83.13 23.08
その他 5 21.20 85.60 7.69
脳梗塞治療は特に迅速な治療開始がその後の患者さんのADL(日常生活動作)に影響を与えると言われています。
また、脳梗塞治療でのリハビリテーションは後遺症予防に非常に重要です。当院の脳梗塞患者の平均年齢は80歳を超えており、年齢的に長期臥床を防ぐためにも、平均して発症から2日までにはリハビリテーションを開始するようにしています。
院内で発生した脳梗塞に対しては、TPAや血管内治療などの超急性期治療は当院では実施できませんので、近隣の医療機関へ紹介転院をおこなうことで迅速に対応しております。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 65 1.49 12.06 6.15 80.18
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) 44 0.80 8.25 2.27 75.00
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術 32 0.03 14.84 15.62 68.69
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 28 10.36 16.61 3.57 69.39
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層) 27 1.48 7.52 0.00 74.30
胆・膵領域で、がんや胆石によって黄疸や胆管炎、胆のう炎、膵炎の緊急入院が多くなっており、内視鏡的に胆道にステント留置を行っています。このような処置を早期に実施することで、その後の治療をスムーズに実施できるようになります。
3番目に、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)に対する経皮的冠動脈ステント留置術が多くなっております。これはカテーテルを用いて狭窄部位にステント(金属)を留置して拡張します。開胸手術でないため患者さんの負担も少なく実施することができます。
消化管領域においては、内視鏡的粘膜下層剥離術を中心に、胃・大腸、食道に生じた早期がん・ポリープに対する内視鏡的治療を積極的に行っ ています。低侵襲で入院期間も1週間程度と短期間であるのが特徴です。胃などの臓器が温存されるため、術後の食欲低下など機能障害が生じにくいことが最も大きな利点であるといえます。
4番目にある抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置については、化学療法を行う患者さんに必要なときに薬剤を血管内に投与できるカテーテルを皮下に留置する設置術を外科に依頼し安全に実施しております。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆のう摘出 68 1.81 5.31 0.00 65.74
K634 腹腔鏡下鼡径ヘルニア手術<1側> 33 2.36 3.79 0.00 68.33
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術 24 0.63 4.63 0.00 36.92
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 15 1.47 10.33 0.00 64.47
K6552 幽門側胃切除 13 4.23 22.62 0.00 72.08
この集計では、胆のう炎、鼡径ヘルニア、虫垂炎に対して腹腔鏡下で手術をおこなっていますがその他、患者さんの病態に応じて積極的に腹腔鏡下による手術を実施しております。
また、化学療法を行う患者さんに対して必要なときに薬剤を血管内に投与できるカテーテルを皮下に留置する設置術も他科よりの依頼も含め実施しております。
上位を良性疾患が占めておりますが、胃癌、大腸癌、肝胆膵癌など悪性疾患についても多数の手術を行っています。
入院にあたっては外科医師全員が主治医となるグループ診療を行っています。どの医師にでもお気軽にご相談いただける体制となっており安心して入院生活をお送りいただけるものと考えています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(上腕) 74 3.12 23.61 27.03 77.91
K0462 骨折観血的手術(前腕) 65 2.17 14.77 3.08 63.68
K0821 人工関節置換術(膝) 45 1.27 22.69 4.44 73.93
K0483 骨内異物(挿入物を含む)除去術(前腕) 44 0.98 1.18 0.00 62.64
K0463 骨折観血的手術(膝蓋骨)<内固定を行なう> 38 1.18 12.76 5.26 52.53
手の外科専門医の赴任により、骨折観血的手術(前腕)が術式上位に入っています。その際に挿入したプレートを抜釘する骨内異物(挿入物)除去術(前腕)も比例して増加しています。
地域の高齢化を反映して、骨折などの外傷の手術症例が多く、四肢骨折の観血的手術で件数が多くなっています。大腿の骨折に対しては、骨折部位を開いて整復と固定をおこなったり、骨折によって骨頭が壊れ、骨頭の保存が難しい場合には人工骨頭の挿入をおこなっています。
また、重度の変形性股関節症、変形性膝関節症に対して人工関節を挿入する手術を実施しており、患者さんの年齢、活動性、骨形態などを検討し、最適な人工関節や手術方法を決定しています。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 16 1.06 5.06 6.25 69.56
K514-23 肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又はこれに満たない)<肺葉切除>
K5131 胸腔鏡下肺のう胞切除
K196-2 交感神経節切除術(胸部)
K5143 肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又はこれに満たない)<肺葉切除>
令和元年度、原発性肺癌の手術を33件施行し、その内70%の23件を胸腔鏡下で施行しております。胸腔鏡下での手術は患者さんへの負担も少なく在院日数も平均して9日と短くなっています。
また、気胸に対する治療にも積極的に取り組んでいます。気胸とは、肺がパンクして縮んでしまう病気で、胸痛・呼吸苦などが突然出現します。
初期治療を胸腔ドレナージといって、胸の中にチューブを入れ、肺から漏れた空気を排出して肺の拡張を図ります。原因となった肺嚢胞に対しては治療を行っていませんので約半数で再発します。
繰り返し発症してしまう場合や、再発予防に対して、肺嚢胞の切除もしくは縫縮を実施します。肺切除に関しては胸腔鏡下で実施しています。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 両口蓋扁桃手術(摘出) 20 1.00 6.00 0.00 9.35
K370 アデノイド切除 11 1.00 6.00 0.00 4.18
K309 鼓膜(排液、換気)チューブ挿入術 10 1.00 1.20 0.00 4.30
K340-5 左)内視鏡下鼻・副鼻腔手術(Ⅲ型)
K339 両粘膜下下鼻甲介骨切除術
扁桃肥大、鼻中隔弯曲症、中耳炎、慢性副鼻腔炎に対して手術療法をおこなっております。
耳鼻咽喉科疾患全般を取り扱っており重症度に応じて手術や入院治療を勧めさせていただきます。
ほとんどの疾患が診断可能ですが、悪性腫瘍などの特殊な治療が必要な疾患につきましては、適切な施設を紹介させて頂いております。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7811 経尿道的尿路結石除去術<尿管> 39 0.44 1.18 2.56 59.49
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 29 0.90 4.31 0.00 75.38
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 17 1.24 12.00 17.65 71.29
K8411 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用) 12 1.83 7.67 8.33 74.08
K821 尿道狭窄内視鏡手術
経尿道的に膀胱がん、尿路結石、前立腺がんに対して手術をおこなっています。
膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用)は、尿道から膀胱に内視鏡を挿入し、その先端に付いている電気メスで膀胱内の腫瘍を切除します。
尿路結石症に対する治療は、最新のレーザー破砕装置を取り入れ、従来では困難であった上部尿路に対する経尿道的内視鏡手術治療を実践しています。
手術件数上位とはなっていませんが、女性の尿失禁に対する薬物および手術治療や、夜尿症などの一部の小児泌尿器科疾患の治療も行っています。
泌尿器科疾患は、腎臓内科や婦人科との関連する疾患も多くあります。当院では、必要に応じて院内はもちろん、周辺の他の医療機関とも可能な限りの連携を取り、市民の皆さんが安心して受診いただけるように努力します。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 9 0.20
異なる 6 0.13
180010 敗血症 同一 49 1.09
異なる 6 0.13
180035 その他の真菌感染症 同一 3 0.07
異なる 2 0.04
180040 手術・処置等の合併症 同一 7 0.16
異なる 0 0.00
入院契機が『同一』とは、感染症や合併症の治療を目的として入院されたことを示し、入院契機が『異なる』とは、他の治療目的で入院し たものの、入院中に感染症や合併症の治療が主な治療目的となったことを示しています。
血液の凝固に異常をおこす疾患で播種性血管内凝固症候群(DIC)というものがあります。これは症候群であり病名ではありません。そのため基礎疾患があり、それに伴い発症します。
入院時すでにDICであった患者は60%で、残り40%は入院時は原疾患に対する治療をおこなっていたという結果になっています。入院契機疾患は悪性腫瘍や胆管炎、胆のう炎で多くなっています。
当院では、白血病、感染症(肺炎、腎盂腎炎など)、がん等の疾患を多く取り扱っており、その原疾患に伴い入院後発症したものが多くなっています。
様々な感染症から血液に病原菌が入り敗血症になることがありますが、入院時すでに敗血症の患者さんが89%で残り11%が入院契機疾患は肺炎や尿路感染症、化学療法中の易感染の患者さんとなっています。
抗がん薬投与や放射線治療を受けて白血球数が低下している人、副腎皮質ホルモン薬や免疫抑制薬を投与されて、感染に対する防御能が低下している人は、敗血症を起こしやすいので注意が必要です。
当院の手術・処置等の合併症は、約60%が変形性股関節症の患者さんの人工関節脱臼となっており、残りが退院後に術後出血を発症したもの、予防接種後の副反応で入院となったものでした。
更新履歴
R2.9.16
令和元年度データ更新