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さぬきうどんを支えるみなと~坂出港~

コスモス
印刷用ページを表示する 掲載日:2011年8月2日更新

さぬきうどんを支えるみなと~坂出港~

 吐息が白く散る冬の朝,瀬戸内の静かな港町に現れたのはオーストラリアの貨物船。長旅の疲れを癒す間もなくハッチが開き3機のクレーンが忙しく動き出す。潮の香りが一転甘く芳ばしい香りと共に黄金色の小麦が溢れ出した。
 坂出港の麦の輸入量は年間約20万トン。四国におけるシェアは100%と偉容を誇る。林田サイロ事業協同組合の事務局長いわく「ほぼ半数がASW(オーストラリアン・スタンダード・ホワイト)という,うどん作りには定評を持つ小麦です。」さらに氏は「今回の積荷もASW。坂出港,大阪港で各々約1万トン,続いて四日市港で約5千トンを降ろす予定です。」と説明を続けた。人口6万人弱の町の港が,大阪に匹敵する荷揚げとは,なかなか うどん好きの”讃岐っ子”ならぬ”讃岐っ港”らしい。

林田埠頭での荷役状況写真2011年撮影

 空海の生れ故郷である香川では「讃岐のうどんは弘法さんが唐から持って帰った。」という言い伝えがあるが当初は団子状だったとか,小麦そのものを伝えたなど様々である。この坂出が発祥の地とする説もある。その昔,国庁が置かれていた事が誘引らしいが,いずれにせよ小麦に適した温暖な気候,賑わう塩田,イリコの宝庫である瀬戸内海など重畳の風土が融和しさぬきうどんは創生された。

 時代と共にさぬきうどんは進化し変貌を遂げる。コシの強さが売りの小麦を輸入し,昔栄えた塩田はその小麦を迎える港へと生まれ変わる。粉をひく川沿いの水車小屋は,設備の整った製粉工場となり港へと場所を移した。「そうですね工場は港の近くですね。小麦の殆どが海から来るので・・・」日清製粉(株)坂出工場の工場長は語る。
 うどんに限らず日本で消費される小麦の約9割は外国からの輸入だ。全国各地に工場を持つこの会社,他の地域でも港に引き寄せられる傾向があるらしい。また「坂出工場は7割がうどん用。他の工場にはないうちの特徴ですね」と笑顔で語る。

 坂出港は天保2年(1831年)瀬戸内海の帆船錨地として築造され,以来物資の集散基地として,またその後の港の修築により近代的な商港となり,貿易港へと成長する。近年では番の州の埋め立て,塩田跡地を活用した港湾開発により工業色の強い港としてもその名が知られる。
 そして今,背後の高速道路との連携により,海のみならず陸への広がりを持つ港へと・・・。

 太平洋を航海し遥々やって来た黄金色の小さな粒がサイロへ,製粉工場へ,また加工場や製麺所へとバトンを渡され,白く透き通ったあの艶やかなさぬきうどんとなり再びこの坂出港から全国に広がるフアンの許へ送り出される。
 その昔,さぬきうどんの歴史に一役買い,今また様相を変えさぬきうどんの基層を支えるこの坂出港を私はひそかに誇りに想う。

注釈: 機関紙「港湾」平成16年2月号に掲載されたものです。

小麦について

麦の種類

 日本で一般に「麦」と呼ばれる植物には,小麦,大麦,燕麦(エンバク),らい麦などがありますが,植物学上の分類はイネ科ですがそれぞれコムギ属,オオムギ属,カラスムギ属,ライムギ属に別れます。大麦はさらに二条大麦,六条大麦,はだか麦に分類されます。
 日本で食されている麦は,主に小麦,二条大麦,六条大麦,はだか麦の4種類で,それぞれ次のような食品となっています。

小麦 ・・・・ 小麦粉として精製され,パンやめん類,菓子類など
二条大麦 ・・・・ ビール,焼酎など
六条大麦 ・・・・ 麦ごはん,麦茶,味噌,醤油など
はだか麦 ・・・・ 麦ごはん,味噌など

小麦の種類と主な用途

 小麦は,世界中で生産されていますが,生産される気候風土や品種によって特性がさまざまで,うどんに適した品種,パンに適した品種などがあります。製粉会社で,それぞれの小麦の特性を生かし,うどん用,パン用などに適した小麦粉を製粉し,各家庭に供給されたり,製麺所や食品工場で食品に加工されます。

坂出港では主に5品種の小麦が輸入されており,それぞれ次のような食品になっています。
 オーストラリア産小麦(ASW) ・・・・ 主にうどん,そうめんなど
 アメリカ産小麦(WW) ・・・・ 主にケーキ,お菓子など
 アメリカ強力小麦(DNS) ・・・・ 主にパン・醤油など
 アメリカ準強力小麦(SH) ・・・・ 主に中華麺など
 カナダ強力小麦(1CW) ・・・・ 主にパンなど

食糧需給率と日本の輸入量

 小麦はうどん,パン,中華麺などに,大麦はビール,麦ごはんや麦茶などに加工されており,私たちの食生活に密接に関わっている農作物です。しかし,日本の食糧自給率(平成21年度概算値)は,小麦で11%,大麦・はだか麦は8%と低く,日本で消費される麦類の約9割が外国からの輸入に頼っています。
 平成20年(1~12月)には,全国の港湾で約714万トンの麦類(小麦・大麦・はだか麦など)が輸入され,坂出港では21万5千トンの麦類が輸入されました。

出典:平成21年食糧需給表 農林水産省 , 平成20年港湾統計年報 国土交通省

港別の食糧用小麦の輸入量

  小麦を直接輸入している港は全国で25港ありますが,四国で輸入しているのは坂出港のみであり,全国でも10番目に多い輸入量となっています。

平成21年4月~平成22年3月 食糧用小麦の輸入実績

順位港湾輸入量 M/T順位港湾輸入量 M/T
1位

千葉

909,718MT

16位

広島

32,960MT

2位

神戸

700,912MT

17位

新潟

20,085MT

3位

横浜

679,851MT

18位

仙台塩釜

16,039MT

4位

名古屋

537,756MT

19位

姫路

10,300MT

5位

博多

491,750MT

20位

八戸

7,931MT

6位

大阪

350,006MT

21位

鹿児島

5,741MT

7位

東京

313,722MT

22位

衣浦

3,908MT

8位

鹿島

238,429MT

23位

苫小牧

2,280MT

9位

清水

134,718MT

24位

八代

1,030MT

10位

坂出

107,845MT

25位

石巻

1,030MT

11位

小樽

99,395MT

 

4,896,318MT

12位

水島

93,076MT

 
13位

四日市

49,611MT

14位

志布志

44,965MT

15位

函館

43,260MT


出典:輸入食糧協議会報2010年5月号  MT:トン(Metric Ton)=1000キログラム
 飼料用小麦127,634トンを含みます。大麦・はだか麦を除きます。
 外航船(本船)で輸入された数量です。これ以外に,他の港で内航船に積み替えて輸入される麦もあります。

坂出港で輸入している小麦

 日本に輸入される食糧用小麦は,パンやお菓子の原料に適しているアメリカ産の小麦が,全体の輸入量の約6割を占めています。一方,坂出港では約75%がオーストラリア産の小麦です。
 これは,香川県の食文化である"さぬきうどん"の材料として,オーストラリア産のASWという小麦が多く輸入されているためです。
輸入小麦の産地(日本全体)輸入小麦の産地(坂出港)

輸入時の手続

 麦の輸入には,食糧としての安全確保などのために,さまざまな検査や手続きがなされます。
1.産地および船積み時の検査
2.輸入防疫検査(害虫の有無の検査)
3.農産物検査(かび,残留農薬の検査,品質等)
4.通関
これらの業務を行う組織として,坂出港には神戸食物防疫所坂出支所,神戸税関坂出税関支所,民間品質検査機関4社などがあり,食糧輸入に必要な港の機能がそろっています。

坂出港の輸入麦の荷役

 他の港では,穀物を船から吸い上げるニューマチックアンローダーという荷役機械が使われる事がありますが,坂出港での麦の荷役は,輸入貨物船のウィンチに取り付けたバケットを使ってホッパーに落とし,ホッパーからトラックまたはコンベヤに落とし,サイロに投入します。バケットの1掴みで約4トンの小麦の積卸ができ,その迫力は一見の価値があります。
麦の荷役状況  麦の荷役状況

坂出港の穀物サイロ

 坂出港で多くの小麦が輸入されるためには,輸入した麦を保管する施設が必要となるため,坂出港には輸入食糧を保管する穀物サイロが多く立地しています。
坂出港林田埠頭のサイロ  坂出港中央埠頭のサイロ

政府所有米麦保管倉庫・サイロ収容力
地区中央ふ頭西ふ頭東浜林田
サイロ(t)44,483トン21,260トン0トン51,273トン117,016トン
倉庫(m2)26,147平方メートル11,021平方メートル5,063平方メートル13,337平方メートル55,568平方メートル

坂出市内の製粉会社

坂出港に輸入された小麦の仕向地

 坂出市内には,明治・大正時代から小麦の製粉が盛んとなり,製粉会社が3社立地しています。坂出港で輸入されたほとんどの小麦は,坂出市内の製粉会社で小麦粉に製粉されています。

 坂出の製粉会社は,うどんに適した小麦粉の製粉に向けて研究と努力を続けていて,うどんに適した小麦粉が製造されるようになったことで,今の美味しい讃岐うどんを食することができるようになりました。

坂出港で輸入された小麦「ASW」と香川県産小麦の「さぬきの夢」,そして坂出の製粉会社の努力が,讃岐うどんを支えています。