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特集担当おすすめ本

コスモス
印刷用ページを表示する 掲載日:2017年12月1日更新

12・1月の特集  『あなたの心をHotさせる本』

 今回は,心温まる物語の特集です。
 中でも,特におすすめの1冊は…

  12・1月特集 おすすめ本 

『あたたかい水の出るところ』 木地雅映子/著 光文社

 タイトルにある「あたたかい水」とは,ずばり温泉。この作品のキーとなる場所です。

 主人公の柚子は高校3年生。小学生の頃から1人で銭湯に通うほどの大の温泉好きで,彼女の放課後の予定は「ひとり銭湯」か「家事手伝い」なかなか今どき珍しいタイプです。
 周りからの評価は,自由人でほんわかと場を和ます女子。
 そんな柚子ですが,実は家庭環境に難があり,温かな印象とは裏腹に内面は非常にドライ。
 要領よく人付き合いをする一方で,自分の理解者なんていないと孤独を抱えています。

 柚子の冷え切った心を温める唯一の方法は温泉につかること。柚子にとって温泉は学校や家でかぶっている仮面を脱いで自分らしく過ごすことのできる心のオアシスです。
 ある日,銭湯の客の「フクイチ」との出会いがきっかけで彼女の心に少しずつ変化が訪れます。
 目をそらしてきた家族の問題やおざなりにしてきた自分の感情に向き合い,傷つき,悟り,成長していく柚子。自立を目指し,家族からの反発を覚悟で突き進む姿が前向きで胸が熱くなります。

 女子高生が抱える形容しがたい「もやもや」のオンパレードを乗り越えた柚子の将来は,この先どうなっていくのでしょうか。
 明るい未来に胸膨らませる柚子の言葉が温泉のように体に沁みわたり,心がじんわり温まっていく。進路や家族のことで悩みのある中高生にはぜひ一度読んでもらいたい1冊です。