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特集担当おすすめ本

コスモス
印刷用ページを表示する 掲載日:2017年10月1日更新

10・11月の特集  『和の文化“三道”のすゝめ』

 今回は,日本の伝統文化“三道”(茶道・華道・香道)についての特集です。
 中でも,特におすすめの1冊は…

  和の文化三道のすすめ 

『香彩七色』 浅葉なつ/著 Kadokawa

 
好きな"香り"はありますか?
 石鹸の清潔な香りや,焼き立てのパンの香ばしい香り。この時期町を歩いていると香ってくる金木犀の花の香り。
 私たちの周りには様々な香りがあり,好きな香りも人それぞれ。この本はそんな香りの物語です。

 主人公の秋山結月は,食を愛する朗らかな女子大生。美味しい食べ物のためなら,時間も努力も惜しみません。そんな結月の食への執念に大いに貢献しているのは,彼女が持つ犬並みの嗅覚!その恐るべき嗅覚は二百メートル先の焼肉屋にも反応できるレベルです。

 ある日結月は食べ物の探索中に,大学内で不思議な香りのする小屋を見つけます。そこで出会ったのは"森の香り"のする青年・神門千尋。
 端正な顔立ちとそっけない物言いのせいで,冷たい印象を与える千尋ですが,実は代々続く神門流香道の跡継ぎ息子で,"香り"に関してはプロ中のプロ。"香り"がきっかけで出会った二人の元に,"香り"にまつわる事件が舞い込みます。

 白紙の便箋から香る淡い香水の香りや,伝統ある香木の荘厳な香り,夜に香り立つオシロイバナの移り香…。香りは時に言葉よりも雄弁に,そこにある思いを語ります。二人は香りに秘められた人々の思いに耳を澄ませ,丁寧に読み解いていきます。

 お人よしの結月と人嫌いな千尋。二人と一緒に謎を解きながら,香りの向こうの優しい真実に触れてみてください。心にそっと寄り添うような,人恋しくなる秋にぴったりのお話です。